経営は、「実行」にあり!
話をガースナーに戻します。
彼は、IBMを再建する上で、多くのことを行動に移しました。
例えば、CEOに就任してまもなく、メインフレームの価格を引き下げました。彼自身、「賭けに出た」と表現しているように、とてもリスクの高い決断でしたが、これを果敢に実行に移しました。
「実行が大事だ」ということは、ガースナー自身が強く認識していました。こう語っています。
「実行こそが、成功に導く戦略のなかで決定的な部分なのだ。やり遂げること、正しくやりとげること、競争相手よりうまくやりとげることが、将来の新しいビジョンを夢想するより、はるかに重要である」
まとめに移りましょう。
コンサルタントとしての経験を積んでいくと、分析的な能力は高まります。コンサルタントを続けるのなら、その分析能力は仕事に直結するでしょう。ですが経営者になると、分析的な能力は、必要な能力の「一部」でしかありません。
経営者として必要なことは、リーダーとして実行に移していくことです。実行に移すのはリスクを伴います。上手にリスクテイクし、頼もしいリーダーとして組織を率いていく。実行する組織として機能できれば、経営はうまくいくことでしょう。そうした企業の経営者は名経営者と言えることでしょう。
「偉大な企業の名経営者」と「コンサルタントという職業」との相関は、全くないと言っても過言ではないと、私は結論づけています。
参考文献-----------
『選ばれるプロフェッショナル』
ジャグディス・N・シース、アンドリュー・ソーベル著、羽物俊樹訳、英治出版