味わいを組み合わせる「シェフ」

つまり、日本のウイスキーは、1つの「日本料理」的な応用なのだ。輿水さんは、ウイスキーのブレンダーであると同時に、味わいを組み合わせる「シェフ」でもあったのだろう。

かつて、輿水さんと一緒にウイスキーの取材でスコットランドのアイラ島を訪問したことがある。有名なボウモアの蒸留所の横で、持参した日本のウイスキーを比較のために試飲したときの、まろやかな味わいの感動は忘れられない。

日本人は個性に乏しいとしばしば言われるが、一方で、「十人十色」ということわざもある。

味わいの細やかな個性に気を配る日本人の感性を、人間の個性を活かすことにつなげられたら素敵だと思う。

(写真=PIXTA)
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