親同士の軋轢、そして、子どもたちのトラブル多発

また、同じ世田谷区にある別の名門公立小学校では6年生という受験期にこんな問題が勃発した。母親Dさんがそれを教えてくれた。

「ウチの小学校の子たちの大半は駅前にある『大手塾』に通っているのです。そこの大手塾の学力別クラスの変動や成績を小学校内に持ち込む子どもたちが大勢いて、それをきっかけにいじめ問題が起こってしまったんです」

この小学校の校長は事態を改善するために、そこの大手塾の責任者と「面談」までおこなったという。親同士の軋轢、そして、子どもたちのトラブル……。名門小学校だからといって良い教育環境が保証されているわけではないのだ。

各区の私立中学受験率の低い小学校の長所・短所とは?

では、中学受験率が比較的低いエリアにマイホームを持ったほうが、むしろ子どもの教育環境がいいということかと思うが、そうは言い切れないようだ。

「とにかく担任の先生に腹が立って仕方がありませんでした」

こう振り返るのは大田区の公立小学校に通学していた息子さんを持つ母親Eさんだ。この学校の中学受験率は10%程度だったが、担任の中学受験生に対する扱いがひどかったらしい。

「受験間際になって膨大な宿題を出してきたり、生徒全員の前で娘が塾通いしていることについて皮肉めいた発言をしたり……わたしもそうですが、何より娘が精神的にまいってしまいました」

※写真はイメージです(写真=iStock.com/taka4332)

中学受験率の高い学校でこの手の話はめったに耳にしない。こうしたふるまいをした途端、大半の親を一気に敵に回すことになるからだ。練馬区の受験率20%程度の公立小学校に息子さんが通っていた母親Fさんはこう愚痴る。

「わが家は息子に中学受験させるつもりでいたのですが、息子と仲のいい子たちはみんな地元の公立中学校へ進むんです。だから、いざ塾に通っても、その事情を理解していない友達からの誘いを断れず、結局、中学受験は断念しました」

世田谷区の公立小学校に娘さんが通う母親Gさんは受験率の低い学校のデメリットに言及した。

「娘の通った小学校の中学受験率は10%くらい。中学受験のために塾通いするような子は『異端児』として扱われるんです。そうなると、娘としては塾に『通わされている』という感覚になってしまうのです」

そうは言うものの、Gさんは総じて小学校には満足感を抱いているという。のんびりとした雰囲気であり、娘さんは気の合う友人と楽しく過ごしていたと言い、親同士のトラブルもほとんどなかったという。