タワマン林立するエリアの公立小学校に学級崩壊が多いワケ
▼江東区の公立小学校のケース
一方、タワーマンションが林立し、年々生徒数が激増の一途をたどる江東区の公立小学校の母親Bさんはこう語る。
「私立中学校に進む子は全体の7割くらいです。良かったのは塾に行くのが当然という雰囲気なので、勉強に積極的ではなかった娘も自然と中学受験体制に入れたことです」
中学受験率の高い小学校の教員は、やはり中学受験を志す子どもたちに理解を示すのだろうか。このBさんは学校教員の理解があったことに感謝している。
「中学受験勉強に打ち込んでいる子どもたちの大変さは担任の先生も十分わかってくれていましたよ。むやみに宿題を課すようなこともないし……そこは恵まれましたね」
しかしながら、この母親は娘の6年間を振り返ると、この小学校に通わせるべきではなかったと後悔している。
「近隣にタワーマンションが続々と建てられていますから、どんどん生徒数が膨らんでいくんです。そして、問題だなあと感じたのは、学級崩壊状態に陥った学年が多いこと。原因はさまざまだとは思いますが、このエリアは共働き世帯が中心。学校で問題を起こす中心は決まってそのような世帯の子。いまの時代、共働きは当たり前だと思います。でも、自分の子が学校で何かしでかしても、『忙しい』と全く学校に顔を出さない。だから、事態は悪化するばかり。卒業式でもそんな調子でしたから、それを目にすると何だか悲しい気持ちになっちゃうんですよね」
こう証言したBさんの娘さんも、自分の小学校があまり好きではなかったらしい。
この点に関する話として、わたしは以前プレジデントオンラインで「『仕事命』の親の子が学級崩壊させる理由」という記事を執筆した。ぜひご参照いただきたい。
名門小学校だからこそのトラブルもある
▼世田谷区の名門公立小学校のケース
世田谷区の名門公立小学校に3人の子どもを通わせていた母親Cさんはため息をつく。
「教育意識が変に高い親ばかりでしたから、わが子の中学受験勉強の様子に探りを入れる人が多かったんですよね。本当に親付き合いで疲れてしまいました」
Cさんによれば、何人かの親が小学校内で良い「ポジション」を獲得するためか、わが子の通う塾の情報を喧伝したり、成績や志望校をひけらかしたりすることがあったという。
このような「マウンティング」はいわゆる名門公立小学校でよく聞く話であり、特異な例ではない。