「何より、シンプルに、可愛らしかった」

続いてエリカは、「お昼ご飯は食べましたか? ここの向かいのとんかつ屋が美味しいらしいですよ」「気づいてるかわからないですけれど私、ロボットなんですよ」「だから何も食べられなくて」など、多少のユーモアを交ぜた会話を、アドリブ(?)で繰り広げる。

堀江貴文『僕たちはもう働かなくていい』(小学館新書)

受け答えに少しタイムラグがあったり、質問と答えがかみ合わなかったりなど、ロボットと話していることを感じさせる部分はもちろんあった。

でも、コミュニケーションを取るには特に不便を感じない。

エリカの対話内容は、石黒さんの研究チームが人を観察して得た膨大な対話パターンを基にしているそうだ。23歳の女の子が相手と話すとき、どんな受け答えをするか、などのパターンが考え抜かれている。会話の相手としての親和性は高かった。会話は10分ほどだったが、進化のほどは十分にうかがえた。

何より、シンプルに、可愛らしかった。

酔っぱらった状態で長時間、話していると口説いてしまうかもしれない。

「アンドロイド女子アナ」が誕生した

2018年4月に、アンドロイドのアオイエリカが日本テレビに入社したと報じられた。史上初となる、アンドロイド女子アナの誕生だ。

アオイエリカは、ニュース報道など現場に立ちながら、AI技術でアナウンサーとしての成長を期待されている。現在はBS番組のアシスタントなどをしながら、先輩の発音や言葉の発声方法を学習中だ。やがて人間のアナウンサーと変わりのないレベルの仕事をこなせるようになるかもしれない。

彼女が活躍すれば、2020年東京オリンピックなどグローバルなイベントで、日本のロボティクスの発展を世界にアピールできるだろう。

エリカの美貌と親しみやすさは、かなり大きな武器だ。人気の看板アナウンサーに成長する可能性も少なくはないし、世間にアンドロイドの受け入れを推進する効果もある。

エリカを見たい、エリカに会いたいという人は、間違いなく増える。会いに来た人たちとのリアルの対話を重ねながら、エリカのコミュニケーションロボットとしての性能は、ますます高まるだろう。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。ライブドア元代表取締役CEO。東京大学在学中の96年に起業。現在は、ロケットエンジン開発やさまざまな事業のプロデュースなど多岐にわたって活動。会員制コミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」や、有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」も多数の会員を集めている。
(撮影=小学館写真室)
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