日本という国が「忖度」で動いてしまっている
安倍政権では度々、忖度が問題になってきた。
森友学園の問題では、約8億2000万円という破格の値引きで国有地が売却された。値引き問題が発覚した後に、財務省は名誉校長に就任していた安倍首相の妻の昭恵氏の名前を決裁文から削除するなどの改竄を行った。
加計学園の問題では、獣医学部の新設をめぐって「総理のご意向」と内閣府が文部科学省に伝えた文書が見つかった。加計学園の理事長は安倍首相の古くからの友人で、便宜が図られたのでないのかとの疑いが持たれた。
そのほかにも、厚生労働省の「毎月勤労統計」の問題でも忖度が働いたのではないかという指摘があった。
いま日本という国は、安倍首相や首相官邸の意向を忖度する形で動いてしまっている。
大島理森・衆院議長も「安倍政権1強」に猛省を促した
昨年末、臨時国会で安倍首相と与党自民党が外国人労働者を拡大する改正入管法を成立させた。野党やメディアの強い反対があったにもかかわらず、審議は短時間で済まされ、安倍首相は数の力で押し切った。反対する声に全く耳を傾けなかった。
こうした強引さは、ここ数年続いてきた。その事態を象徴するのが、昨年7月の大島理森(ただもり)衆院議長の談話の発表だった。
大島氏は「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきただろうか」と嘆いた。
大島談話の直接のきっかけは、前述した財務省による決裁文書の改竄だったが、大島氏は「安倍政権1強」が生んだ忖度に対し、猛省を促したのだ。
昨年9月の自民党総裁選で安倍首相は3選を果たした。しかし私たち国民が1強政権を認めたわけではない。政治は安倍首相のためにあるのでなない。安倍首相が国民のことを本当に考えているというのなら、安倍首相自身が「1強」の驕りを自覚し、謙虚になる必要がある。今回の塚田氏の忖度発言をきっかけに深く反省してほしい。忖度は安倍1強が生んだ落とし子である。