〔2〕「建設的対立」を計画する

状況を把握したうえで、それでも相手に苦情を言うことが必要だと思うならば、時間をかけて準備しよう。まずは、どのような結果を求めるかを明らかにすることだ。肝心なのは、現実的な結果を求めることである。

「虚心に自分と向き合ってみると、相手が平伏し、許しを乞うことを望んでいる自分がある。そのような結果が決して得られないことを認めなければならない」とウィークスは書いている。実現する可能性が高いこと、つまり双方の当事者が受け入れやすいことを求めるべきなのだ。

「我々はしばしば他人の行為を批判する。だが、相手にどう振る舞ってほしいのか自分自身、はっきりわかっていないことが多い。自分が何を望んでいるかがはっきりすれば、相手に何を求めるかも自ずと明らかになろう」とパクターは指摘する。最後に、相手と合意と決意について確認し合うことを計画に含めよう。

問題の相手との接点がなければ、いきなり問題を切りださずに、まず知り合うことから始めよう。「問題を話し合う前に、氷を砕いておくべきだ」とハマドは言う。自己紹介をする、相手を知るなど、建設的な結果を生みだすための地ならしをするのだ。「よい人間関係から得るものは多いが、失うものは何もない」。

たとえば、センスも知識もないマーケティング部にデザインを却下されたとしよう。権限の濫用を抗議する前に、「デザインについてデザイナーと話す方法」について半日のセミナーを開いてみるとよい。2つの部門がともに利益を得られる方向にセミナーをもってゆけば、良好な関係を築くための土台ができるだろう。

人生のさまざまなチャレンジと同じで、話し合う技術も練習次第で上手になる。目標は、「強く、礼儀正しく」だ。この目標を達成するには、自己主張する訓練とエチケットの訓練の2つが必要だとパクターは指摘する。言おうとする言葉を書き出してみよう。さまざまな返答を予想し、それぞれにどのように対応するかを考えてみる。パクターは、言おうとすることを声に出して言ってみて、耳にどのように響くか調べることを勧めている。

もっとよいのは、友人か同僚に相手役を演じてもらうことだ。ウィークスは、「同じコミュニケーション上の問題に悩んでいない人を選ぶとよい。聴き上手で、率直で、しかも軽々に判断しない友人が理想的」と言っている。