建設的な対決をするためには次の単純なステップを踏めばよい。

〔1〕現状を分析する

同僚の言葉や行為に腹が立ったときは、まず自分が十分に情報を把握しているか確認しよう。そして一歩退いて状況を客観的に観察してみよう。問題とされる行為は、文化的差異に原因があるのではないか。相手の言動から感じ取った侮辱は、意図的だったのか、それとも単なる不注意にすぎなかったのか。本人に問題があるのか、それともその人が従うことを求められている方針や手順に問題があるのではないか。あるいは自分の感じ方や受け止め方を微調整する必要があるのか。

我々は自分に関心の強い分野のことになると、言葉や状況に過剰反応しがちだ。たとえば筋金入りのフェミニストが、年上の同僚男性から恋人を呼ぶときのように「スイートハート」などと呼ばれたとする。彼が彼女のことを馬鹿にしているのではなく、単なる「オヤジ」の価値観でそう呼んだとしても、同様に不愉快と感じるだろう。

「傷つけられたと感じると、相手の意図と自分が受けた影響を分けて考えることができなくなる」と、ハーバード・ネゴシエーション・プロジェクトで上級アドバイザーを務めるマーク・ゴードンは分析している。

「我々は自分が傷ついたと感じるとき、相手に傷つける意図があったと責任転嫁してしまう。だが、まったく悪意がない発言でも、我々は否定的に受け止めて、傷ついたと感じることがある」