女医は都会志向が強い。その理由は「都市部の大病院は医師が多く、休みやすい」「地方の男尊女卑な空気がイヤ」「地方には(高学歴、一流企業社員など)ハイスペック男が少ないので婚活に不利」……と様々ですが、「女医は地方勤務を嫌がる」傾向は昔より強まっています。
女医率上昇とあいまって、外科など「メジャー科」と呼ばれる多忙な診療科の人手不足の深刻度は高まっています。特に地方では群馬・山梨・高知は18年度の外科専攻医が各1人(東京都は177人)と、地方における外科医療は危機的状況です。
個人的な考えでは、結局「男性医師は大器晩成で、女性医師は中器速成」となることが多いのではないでしょうか。
学生時代は成績優秀で首席卒業後、医師になってからは海外有名病院に留学するなど活躍していた才媛女医も、妊娠・出産というイベントがなくても、なぜか35歳頃から息切れし始め、40代以降には平凡な医師となる例を多く見てきました。一方、男性医師は、学生時代は授業サボりまくりの問題児でも、経験を積み重ね40代以降も診療のレパートリーを増やして成長し続けるようなタイプが多いように見えます。
男性医師はどんな妻であれ、使命感を持ち医師としての道を極めます。しかし、女医はどんな夫かで、「働き方」が大きく変わります。とりわけ、子持ち女医の勤労意欲は、配偶者によって大きく差が出るのです。
医師夫と結婚した女医は、概して働きません。特に20代で出産した群は、絶望的に戦力になりません。では、夫が一般サラリーマンなど非医師ならばどうかといえば、これが比較的よく働くのです。多くの場合、妻のほうが高収入になるので、夫や義理の家族は医師である妻のキャリアを支援する強い動機が働くようです。家事や育児といった本業以外の雑務を周囲の人間が買って出て、妻の負担を減らすように自主的に動くのです。そのことが、世帯収入を高め安定させる最も適切な方法だと気づいているのでしょう。
近頃、フリーカメラマン・ピアニスト・地方議員・起業家など、「アウトレット系男性」と結婚する女医が増えています。こういう夫婦では主に女医が家計を担うので、よく働きますが、もっとよく働くのはシングルマザー女医。つまり医師夫を持つ女医より、非医師の夫を持つ女医や夫なし女医のほうが医師としての伸びしろがあるのかもしれません。