タバコも、昔は1日2箱も吸っていたというが、やめた。

「魚屋を畳むとき、孫に言われたのです。『これからもっと体力が落ちていくのだから、タバコやめなよ』って。孫が自分の体を心配してくれたことが嬉しくて、その場で持っていたタバコを全部燃やした。それ以降は1本も吸っていません」

そのかいがあってか、ここ10年ほど病院に行くような病気は患っていないそうだ。だがいくら節制をしても、生きていく以上は、税金などはかかってくる。

「固定資産税やNHKの支払いがある月は意識して食費を削っています。削るといっても、ただしばらく食べないだけです。あと普段からですが、雑草などを食べることもあります」

実際、取材していた日も、尾畠さんは車を停めていた小学校の校庭にはえていた雑草(クローバー)をむしって食べていた。ちなみに翌日の昼休みは、地域住民の人が広島風のお好み焼きを差し入れしてくれて「うんまい……本当にありがとう」と涙を流しながら、おいしそうに頬張っていた。

そのほか、携帯電話は持っていない。理由は単純に「お金がかかるから」。しかし地元紙の大分合同新聞は毎月購読しているそうだ。

尾畠さんの人生観に感銘を受けた人も多いだろう。この生活ができればあなたも尾畠さんに近づける?

(撮影=深作光輝ヘスス、プレジデント編集部)
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