採用したベトナム人女性は、なぜ馴染めたのか

「クイーンズビラ桶川」の施設長を務める竹本妙子さんは、外国人職員を採用した経緯について、こう話します。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kazoka30)

「外国人の職員を初めて採用したのは2年前です。ウチも他の高齢者施設同様、人手不足に悩んでいました。限られた職員で対応せざるを得ないため疲れ切り、体が音を上げて休む者や離職する者が出る、残った職員の負担がさらに大きくなる、という悪循環が続いていました。そんな時、鴻巣市にある福祉専門学校に留学生が来ているという話を聞いた。どうしても職員を補充する必要があったので、面接をしていい人がいたら来てもらおうと考えたのが採用のきっかけです」

そして採用したのが、ふたりのベトナム人女性でした。

不安はありました。介護職員として採用する外国人は1年間日本語学校に通って日本語を習得し、2年間専門学校で介護を学んでおくことが必要。採用したふたりはそのプロセスを経てきており条件はクリアしていましたが、コミュニケーションはちゃんと取れるのか、入所者に適切な対応ができるのか、生活習慣や価値観の違いなどから職場に馴染むことができるのか、といった心配をしたといいます。

「でも、来てすぐにその不安は一掃されました。ふたりは日本語能力試験のN2(N5から最難関のN1まで5段階ある)でしたが、コミュニケーションは問題なく取れましたし、何より人柄がよかった。真面目で誠実。大変な仕事も嫌な顔を見せずにやってくれる。そしていつもニコニコして周囲をなごませてくれるんです。また、ベトナム人は親御さんをはじめ年長者を大切にする気持ちがある。入所者さんたちは当初、外国人にケアされることを不安がっていましたが、肉親のようにやさしく対応してくれるものだからとても喜んでくれて、孫のように思っている方もたくさんいます」

日本人職員も触発され、仕事に前向きになった

彼女たちの働きぶりは、日本人職員を触発する効果もあったといいます。

「ふたりが入ってくれたことで、自分たちの負担が減ったということもありますが、それ以上に外国に来て介護という大変な仕事を頑張ってこなしている姿に触発されるものがあるんでしょう。以前にも増して前向きに仕事に取り組む姿勢が見られます。ベトナム語を覚えようとする者もいますし、互いを尊重し合う、とてもいい関係にあります」

この成功に手応えを得たクイーンズビラ桶川では翌年以降も積極的に外国人を職員として受け入れてきました。現在は日本語学校や関東福祉専門学校に通いながら働く研修生を含め、10人が勤務。ベトナム人が8人、中国人が2人です。最初に採用されたふたりは、介護福祉士の資格も取得しているといいます。