「約束破る中国はおかしい!」と怒りを爆発させたら……

僕は、中国側ときっちりと書面を交わすことを指示した。「尖閣諸島をめぐって現在、日本と中国が激しくぶつかっている状況にあるが、両政府がどれだけ対立したとしても、地方政府の長である橋下の招待は、中央政府の状況とは切り離し、絶対にキャンセルしない。ゆえに上海に来てほしい」という趣旨の書面の取り交わしだ。

(略)

そのようにトップが明確に指揮すれば、官僚組織は優秀だ。中国側と交渉の上、きっちりと僕の望む書面を交わしてきてくれた。後で聞いたところによると、中国側とかなり激しい折衝をしたようだ。そりゃそうだろう。それでも中国側はこの書面を交わしてでも、僕を招待したいと言ってきてくれた。

その後、日中関係がかなり激しく対立・緊張してきた。そしたら案の定、中国側は日本の政治家、知事、市長、地方議員を上海万博に招待する行事を全てキャンセルしてきた。もちろん大阪府の僕に対してもキャンセルの通知を出してきた。僕の知り合いの知事、市長も、「中国はこれだから参っちゃうよね」と不平・不満を漏らしていた。

知事が海外に出向く出張は、一個人の出張とは異なり、組織として当然それなりの準備をしている。大都市の知事となれば、その準備は相当なものだ。一企業の社長の出張よりも、準備が大変だ。それを中国側の一方的なキャンセルによって全てパーにするなんてことを、僕は「ハイそうですか」では済ませられない。そこまで軽く見られるのは許せない。

そこで僕は、中国とケンカをすることに決めた。これは当初の想定どおりだ。普段は中国にむちゃくちゃ気遣いしている府庁担当幹部も、今回は腹をくくっているようだった。まあ、それも大阪府と中国側の間には僕の招待を絶対にキャンセルしないという明確な書面、いわゆる直接証拠があったのでケンカに勝てると踏んでいたんだろう。

そこで僕は記者会見でぶちまけた。

「中国はおかしい。尖閣諸島をめぐる日中政府の対立・緊張がどんなに激しくなっても橋下の招待は絶対にキャンセルしないと書面まで交わしたのに、平気でその約束を反故にする。中国はなんちゅう国なんだ!」と怒りを爆発させた。

そしたら中国側から、「上海万博事務局の手違いで間違った通知を橋下知事に送ってしまったようだ。大変申し訳ない。是非上海万博の閉幕記念行事で基調講演をして頂きたい」と返事が来た。

僕は「中国側が謝ってきたならそれでいい。上海万博に行こう」と府庁幹部に指示を出した。そして「その頃は上海ガニのシーズンに入るんじゃないか」ということも付け加えた。

口約束しかしていなかった全国の知事、市長その他の政治家たちの招待は全てキャンセルになった。

大阪府の僕だけが招待を受けることになった。しかも僕は、「中国が謝ってきたので許してやる。行ってやったる」という雰囲気を国内ではプンプン漂わした。もちろん中国に行けば、そんな偉そうな態度は出さないけど、まあ国内で有権者からの支持を集める一方法として中国とのケンカに勝った匂いをプンプン強く出したね(笑)

そして上海着。

その日の夜は、中国側の招待で、迎賓施設に併設されたレストランで、上海ガニをたらふく食べさせてもらったよ(笑)

当事者同士で決着をつけないといけないガチンコのケンカでは、直接証拠が重要なんだ。中途半端な証拠しか出せないなら、初めからケンカなどしない方がいい。

そして明確な直接証拠があれば、あの中国だってしっかりとそれを守る。他方、直接証拠がないなら、とことん自分の立場を主張していく。これが厳しい国際社会の現実なんだろう。韓国の今の態度は、まさに日本が直接証拠を突き付けないので、ドローに持ちこもうとしている、ある意味国際社会での流儀でもある。

(略)

(ここまでリード文を除き約3300字、メールマガジン全文は約1万900字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.137(1月29日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【韓国徴用工問題(5)】このままでは日本側の完全敗北! 安倍政権にも知ってほしい橋下流「ケンカの勝ち方」》特集です。

(写真=iStock.com)
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