「民間の施設」は公的年金だけで費用を賄うことは難しい

このように、介護保険で入所できる施設は、「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)を除き、原則、自宅で暮らすことを目標にリハビリや治療を行う施設となっています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Tuned_In)

一方、「民間が運営する施設」(B)には「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などがあります。これらは、亡くなるまで住むことを念頭においた施設がほとんどです。立地やサービス、設備の充実度によって、入居先を選べることが利点です。

ただし、入居時に支払う一時金が必要な施設が多く、毎月の費用もそれぞれ異なります。都市部など、地価が高いところにある施設は費用が高く、相対的に地方の施設は安い傾向にあります。民間の施設に入所する場合は、公的年金だけで費用を賄うことは難しいかもしれません。

会社員の人は会社加入の団体保険をチェックしよう

高齢の親を持つ子どもができる対策としては、やはり、介護にかかる費用について事前に話し合っておくこと。可能であれば、親の年金の受給額や資産を共有しておくとベターです。兄弟などの親族がいれば、いざというときの役割分担についても話しておきましょう。

また、最近、損害保険各社が企業向けの団体保険で、親の介護費用を補償する保険商品を増やしています。

たとえば、損保ジャパン日本興亜の親の介護費用を補償する団体保険では、被保険者は従業員、補償対象者が親となり、保険金は親ではなく子である従業員の口座に振り込まれます。

親が要介護2以上または要介護1で、認知症自立支援2a以上に認定されると、介護サービスや老人介護施設の入居費用など、介護にかかる費用を実費で補償し、10年間で最大1000万円まで補償されます。

会社側がいわゆる「介護離職」を防ぐ目的で導入しており、団体保険なので保険料も割安です。会社員の人に限られますが、親の介護費用が心配な場合は、勤め先の団体保険を確認してみましょう。

(写真=iStock.com)
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