▼インフルエンザ
病院でタミフルをもらうだけが治療ではない

これからの時期流行するインフルエンザ。実は、米国の疾病予防管理センターでは子どもと高齢者(5歳以下と65歳以上)、肺や心臓などに持病がある人以外では抗インフルエンザ薬の使用を推奨していないことをご存じだろうか。もちろん重症者には使用するべきとされているが、一般的な成人に対して抗インフルエンザ薬はあまり必要ないのではといわれてきているのだ。

「薬を飲んだところでウイルスを体外に出す時間が短くなるというデータはありません。高熱で体調に負担はありますが、薬の効果によって発熱がおさまるのが半日から1日ほど早まるといわれています(※2)解熱剤を飲めばたしかに高熱の時間は短くなりますが、診察所に行って2時間待って診てもらって解熱剤をもらうより、家で安静にしていたほうがいい場合もある。熱が酷いだけなら、市販薬で十分です」(園田氏)

たしかに、インフルエンザの疑いで外出して、ほかの人に感染させてもいけないだろう。しかし、会社には報告しなければいけないし、いつから出勤または通学するかという問題もある。

「インフルエンザは高熱と関節の痛みという自覚症状がはっきりしているので、流行する時期には診察を受けなくても8割くらいの精度で自己判断が正しいというデータがあります。外出、出勤は気になるところでしょうが、基本的には家で休んで、解熱してから2日経つまで待てばいい。自宅待機の時間を結論付けるような研究がないため、今後さらに議論が必要となるところです」(同前)

(※2)プレジデント誌2018.12.31号掲載時「解熱時間は16時間、つまり半日から1日ほどといわれています」と標記しておりましたが、「発熱がおさまるのが半日から1日ほど早まるといわれています」の誤りでした。訂正致します。

水野 篤(みずの・あつし)
聖路加国際病院心血管センター・循環器内科QIセンター急性期看護学・臨床准教授。
2005年、京都大学医学部卒業。17年より現職。著書に『研修医のアタマと心とからだ』など。
 

園田 唯(そのだ・ゆい)
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学界専門医。日本赤十字社医療センター、静岡がんセンターなどでの勤務を経て2016年より現職。
 
(撮影=研壁秀俊 写真=iStock.com)
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