疑問に対する自分なりの解答を作る
東大の授業で課題図書を課す場合には、「穴」を自分で見つけさせ、そして「穴」を自分で埋めさせます。
たとえば東大の授業のよくある課題として、「この本を読んで、疑問に思ったことやもっと深めたいと思った箇所を見つけて、授業の内容を踏まえて自分で調べ、3000字のレポートでまとめなさい」というものがあります。ただ本を読むだけではなく、ツッコミどころを探させて、自分でそれを補完するという訓練をさせる。入試問題でも平易な文章を読ませて「自分の頭で考え、疑問を持ってみる」ことを受験生に求めていましたが、大学入学後は、難しい本を読み、疑問に対する自分なりの回答をつくらせるところまでをセットで訓練するわけです。
そして、本自体も「穴の多い本」が選ばれます。自分で考えるべきことや自分なりに解釈しなければならないポイントが多く存在している本を用意して、そこで出てくる疑問点を授業で解説しつつ、学生自身にも埋めさせる。だから、「今日はこの本の○○ページの疑問を解説しましたが、今の解説に対する反論や自分なりの意見をこの紙に書いてください。それを出席代わりとします」などと言ってリアクションペーパーを配る授業も少なくありません。東大では、こうやって、学生自身が能動的に本から知性を育むことができるような訓練を課しているのです。
たかが本の読み方ではありますが、このように東大では「学び方」を学び、訓練するためのツールとして本が使われています。みなさんも、「穴」を意識して本を読んでみてはいかがですか?
現役東大生ライター
1996年生まれ。歴代東大合格者ゼロの無名校から東大受験を決意。2浪が決まった崖っぷちの状況で「『読む力』と『地頭力』を身につける読み方」を実践。東大模試全国第4位を獲得し、東大にも無事に合格した。現在は家庭教師として教え子に読み方をレクチャーする傍ら、学内書評誌「ひろば」の編集長を務める。著書に『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』『読むだけで点数が上がる!東大生が教えるずるいテスト術』など。