フェイスブックは将来性に不安あり?
まずは創業20年のグーグルだ。自由な企業風土のもと、世界中から奇想天外な天才たちが集うグーグルは、2015年にアルファベットを親会社とする組織再編を行ったが、依然として同社の中核事業は検索・広告・クラウド・Android・YouTubeなどを運営するグーグルが担い、実に売上高の99%を賄っている。ところが残りのわずか1%未満の売り上げしか生み出さない非中核事業に、積極的に人材・資力を傾けるのが同社の特徴でもある。それは自動運転車開発、生命科学研究、先端技術研究、ベンチャー投資などだ。
その理念は、人々の生活をより良いものにすることと一貫している。たとえば自動運転車の開発で、自動車メーカーの多くはより快適なドライブ体験を追求するが、グーグルは高齢者や障害のある人々でも自由に外出を楽しめることを目標に掲げる。直近の収益に結びつかずとも、人々が抱える課題を解決したいという努力を惜しまない。
一方で、ビジネス上の懸念材料もある。企業全体の収益の約9割を検索広告収入に依存しており、YouTube動画にヘイトスピーチや過激派テロ動画も混在しているという理由で、大手企業が続々と広告撤退処置に踏み切るなどすると、同社全体の収益に大きな影響が出る。また独占禁止法に敏感なEUから莫大な制裁金を科されたこと、巨大市場中国における検閲やハッキング問題をクリアできないジレンマなども今後の課題である。
次いでアップルだが、かつて斬新なPCでユーザーを魅了した同社は、いまやすっかりスマホ企業となり、同社の全売り上げの6割をiPhoneが稼ぎ出している。既存技術を応用し組み合わせることでより便利な商品を生み出す力、最高のデザインとクオリティを追求する妥協のなさが同社の強みだ。携帯型音楽プレーヤーiPodの発売、楽曲を一曲ずつ購入できるiTunes Storeの誕生、そして定額課金制音楽配信サービスApple Musicへの移行と、音楽業界大手と衝突、折衝を繰り返しながらも結果的に大きなビジネスチャンスも得てきた。
ただ、そのアップルも盤石ではない。圧倒的カリスマ性で同社をけん引してきたジョブズ亡き後、どこまでユーザーを魅了する商品を生み出し続けられるかが不安視された。はたして、一時人気だったタブレット端末iPadは不調。なによりスマホ市場の飽和により、同社の主力商品iPhone販売に陰りも出始めている。今後、自動運転車の開発や健康・医療分野での取り組みなどが、発展の鍵を握るだろう。
「GAFA」の中で、一番将来性に危うさがつきまとうのはフェイスブックである。いまや世界で20億人を超すユーザー数で、傘下のInstagramも好調だが、収益の9割近くを広告収入で稼ぐビジネスモデルの危険性はグーグルと同様だ。さらに利用者の約半数が日々のニュースをフェイスブックで読む中、16年の米国大統領選以降のフェイクニュースの蔓延に同社は頭を悩ませている。情報流出問題や、EUによる一般データ保護規制、さらには世代交代の波も無視できない。フェイスブック利用者の30~40代層が年をとり、次世代がフェイスブックとは異なる他者との関係性を求めていったとき、変わらずSNS王者の地位を維持できるか確証はない。同社が注力しているAR(拡張現実)とVR(仮想現実)技術の将来性も気になるところだ。