日本の景気はピークアウトしている可能性がある
まずは、日本経済の状況を見てみましょう。
11月14日に7-9月期のGDP(国内総生産)速報値が発表されました。多くのエコノミストの予想通り、実質で年率1.2%のマイナスとなりました。7-9月は豪雨や台風、そして地震災害などが相次ぎ、一時的なマイナスという見方も多いのですが、実は、今年の1-3月もマイナス成長でした。4-6月はプラスの成長だったので景気後退とはなりませんでしたが、一進一退という状況です。
2四半期連続で実質GDP(インフレやデフレを調整後のGDP)がマイナスとなると、一般的には景気後退と判断されるので、今のところは景気後退ではないのですが、黄色信号がともっていることは間違いありません。
「街角景気(景気ウォッチャー調査)」の数字も強くはありません。これは、全国の小売店の販売員やタクシー運転手、ホテルのフロントマンなど、景気の動向を直接肌で感じている人たちに内閣府が聞き取り調査をしているものです。
「50」が基準で、それより上ならば景気がいい、下ならば悪いと感じている人が多いことを示しています。2018年に入ってから、毎月ずっと「50」を下回る水準が続いています。7月は「46.6」、8月は「48.7」、9月は「48.6」となっています。
さらには、GDPの5割強を支える個人消費も弱い数字が目立ちます。総務省が発表する家計調査の「消費支出2人以上世帯」によれば、2018年に入ってから前年比でマイナスが目立っており、消費意欲は弱いと言わざるを得ません。結果が発表されている9カ月分のうち、6カ月分で前年を下回っています。
景気が弱まる中、来年10月に消費税増税
そして、忘れてはいけないのが、来年10月の消費税の増税です。それほど景気が強くなく、中国経済も厳しさを増す状況で、消費税が2%上がるのです。
前回(2014年4月)の増税時には、先ほど述べた家計の支出が3年連続で実質マイナスとなりました。ですから2度目の消費税率上げは、2度も延期になったわけです。政府は、消費増税の衝撃を和らげるべく、キャッシュレスに対応した中小企業には割引を適用するなどの策を講じようとしていますが、もし、景気後退期に税率上げを強行すれば、景気はますます悪化する可能性があります。
東京オリンピック前なので景気が浮揚すると考えている人もいるかもしれませんが、規模が近いロンドンオリンピック(2012年)の前は3四半期連続で英国はマイナス成長でした。経済規模がそこそこ大きい国では、オリンピックが経済に及ぼす影響はあまり大きくないのです。
そして、アメリカの中間選挙の結果を考えると、中国の景気がさらに鈍化することが考えられ、これが日本経済にも少なからぬインパクトを与えると考えられるのです。