300万円で会社を買ったことで人生が変わった
この話に強く惹かれた齊藤さん。だが、当時25歳のサラリーマンだった彼の貯金額はほぼゼロ。会社を買えるカネは持ち合わせていなかった。
「それでも社長を説得して、月10万円の分割払いという条件で300万円で会社を引き継がせてもらいました」
だが、20代のサラリーマンがいきなり会社を辞めて社長になるリスクは大きい。そこで齊藤さんはサラリーマンを続けながらレストランの経営をするという、会社員と社長の二足のわらじを履くことにした。
「当時の店舗は赤字を垂れ流している状態。決して三戸氏の本のように好調な会社を買ったわけではありませんでした。そこで赤字を少しでも減らすため、サラリーマンだった自分は無給で働くことに。18時に仕事を終え、レストランに出勤し、そこから深夜2時まで働く生活を毎日続けました。ほかにも、スタッフの人件費を削るなどの工夫を行いました」
結果、わずか2カ月で店舗の黒字化に成功。さらに12年には2号店もオープンした。気づけば、買収から6年で年商1億円の企業にまで成長させた。
300万円で会社を買ったことで、齊藤さんの人生は大きく変わったのだ。
「成功の要因は、スタッフの教育ではないでしょうか。私が買ったレストランは雰囲気や料理はもともとよかった。あと必要だったのは、コストの削減とスタッフのモチベーションマネジメントだったんです。社員とコミュニケーションを取り、信頼を得ることができれば、未経験社長でも結果は出るのではないでしょうか」
そう自信たっぷりに語る彼は、今次なる一手を考えている。
「社長は落ち着き、そろそろ別のことに挑戦したいため、現在会社の売却を考えています」