オーケストラもいいけれどバイオリンやピアノのソロもいい

梅干しの塩分だけを利用し、大根の甘さが際立つ「ホット梅おろし汁」(撮影=筆者)

シンプルな味付けのスープにも意外に深い味わいがあることに気づくと、ラーメンスープの濃いうま味と、野菜のやさしいうま味は別のものとしながら、どちらのおいしさも楽しめるようになります。

チキンブイヨンで何種類もの野菜をコトコト煮込んだミネストローネがオーケストラであるとすれば、トマト、タマネギ、オリーブオイルだけで作るシンプルなトマトスープはソロ演奏。オーケストラもよいものですが、バイオリンやピアノの音色を存分に楽しむにはソロが適している、スープもこれと同じだといってよいでしょう。

スープは、胃腸にも負担をかけず、仕事で緊張した体をリラックスさせ、体や心をときほぐしてくれます。これは、味付けや油分の濃い外食や中食にはない、大きな特長です。夜遅くに食べても罪悪感もゼロ、作るほどに楽になっていくことが感じられるはず。体や心を十分に休めるという意味で、とても有効で、取り入れる価値のあるものです。

調味料が主役の味付けに慣れた舌を、野菜のうま味主体の薄い味を楽しめる舌へと劇的に変えていくためのスープ・レッスン、ぜひはじめてみませんか。

有賀薫さんの新刊『スープ・レッスン』。本文に出てきた焦がしキャベツのスープ、ホット梅おろし汁も収録されています。
【レシピ】白菜の塩しょうがスープ

材料(2人分)
白菜 1/4株(約500g)
しょうが 大1片(50~60g)
鶏ももひき肉 100g
塩 小さじ1(5g)
サラダオイル 大さじ2
水 600~700mL

1.白菜は長さ5cm、幅2cmぐらいに切り、おおまかに白い茎と葉を分ける。しょうがは3/4の量をすりおろす。鶏ひき肉、すりおろししょうが、塩小さじ1、水200mLをよく混ぜ合わせる。しょうがの残りは千切りにしてとっておく。

2.白菜の茎を鍋に入れ、続いて葉をのせ、200mLの水とサラダオイル大さじ2をまわしかけてフタをし、中火にかける。煮はじめて5分ほどたったらフタを開け、1のひき肉を均一になるようにかける。

3.さらにひたひたになるまで水200~300mLを加えて、10分ほど白菜がやわらかくなるまで弱火で煮込む。仕上げにしょうがの千切りを加える。

有賀 薫(ありが・かおる)
スープ作家
1964年生まれ、東京出身。ライター業のかたわら、家族の朝食にスープを作り始め、スープを作ってきた日数は2018年5月時点で約2300日以上になる。スープの実験イベント“スープ・ラボ”はじめ、スープをテーマにしたイベントを多数開催。著書に『365日のめざましスープ』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『スープレッスン』がある。
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