革新を生み出す知恵は「大きな悩み」から
――人材バリューを身につけるには、どんな研鑽を積めばよいのでしょうか。
大切なのは「大きな悩みを持つ」こと、これに尽きると思います。
人間の頭は柔軟にできているので、大きな悩みを抱えてウンウンうなっていると必ず知恵が出るものです。悩みを真剣に捉え、なんとか自分で答えを見つけ出そうとする姿勢が大事です。
味の素グループでは今、全社的にグローバルで生産革新に取り組んでいますが、実はそのスタートは九州工場でした。近年、メーカーが生産拠点を海外へシフトさせる動きが続きましたが、これに九州工場の人たちが危機感を持ったのです。
どうすれば九州工場は生き残れるか。
「今の半分の固定費で稼働できれば海外に太刀打ちできる」という目標を掲げ、必死で知恵と工夫を出し合った結果、奇跡的になんと3年で本当に目標を実現してしまいました。
――固定費が半分、つまり人員が半分で済むようになったわけですね。その人たちはどうなったのですか。
九州工場で知恵と工夫を出した優秀な人たちは今、国内外のほとんどすべての工場へ指導に出向き、生産革新を進めています。そして昨年、世界各地の生産拠点から社員が集まって生産革新報告大会を開催しました。これは各地で生まれた様々な新しい知恵を共有する場です。
独創的な知恵を地球規模で結集し、みんなで学び合って共に働く喜びを得る――。ここでも当社の人材バリューが発揮されているわけです。