美しい素肌を求め東京・代官山の美容サロンへ
ランチ後、友人とともに東京・代官山にあるそのサロンへ直行した。高性能のイオン導入器を使って、無感覚に、毎日、肌の深部まで美容液を届けるというお手入れ法がこのサロンの特徴。すっかり鈍くなってしまった肌の新陳代謝を促し、沈着しているメラニンを動かし、肌全体をシミができにくい環境にするというのだ。サロンは全国各地にあり、30年の歴史がある。
長年、このサロンに通っていた事実を隠し通していた友人はどこか誇らしげに言う。
「これ(イオン導入器)は、高価なエステを毎日自宅でやっているようなもの。ちなみに、通常のお手入れでは、どんないい美容液を使っても顔のほんの表面、角質層までしか届いていないのよ」
代官山のサロンオーナーの宮久安紀子さん(53歳)は、顔立ちがもともと美形な上に、50歳を過ぎているというのに生まれたての赤ちゃんのような素肌だ。なのに、粉もチークも何も塗っていないという。
うそでしょ。「触ってもいいですか」。初対面なのに、つい、言ってしまった。だって、同い年として驚かざるを得ないのだ。
ええ、どうぞと頬を向けてきた宮久さん。恐る恐る人さし指で少し触れると、ハッとした。恐ろしくみずみずしく、また弾力に満ちた頬だった。ふだんのケアで血色がよみがえるので、チークは不要だという。こんな肌に筆者もなれるのだろうか。
サロンに通う人の多くがノーファンデの理由
聞けば、このサロンはこれまで肌に散々お金をかけていた人たちが最後にたどり着く聖地のような場所とのこと。来る人来る人、50代以上の方でもみなノーファンデだ。みな肌が艶々している。
サロンでは、正しいクレンジングとあわ洗顔の仕方を習い、器具を使ってひととおりお手入れもできる。お肌の知識もいろいろと教えてくれる。
宮久さんの話を筆者はメモした。
<50代は日ごとに老化していく/顔の毛穴は20万個/肌を引っ張るとコラーゲンが伸びてしまう/歳をとるとシワにファンデが入ってヨレる/杖頬をつく習慣があると、シミに繋がる/肌をこするとキメが磨耗する/キメの摩耗は乾燥の原因になる/シミ・シワなどすべての肌トラブルの始まりは乾燥からとも言われている……>
そして、このサロンに通うと、ほとんどの人がファンデーションを塗らなくなる謎を宮久さんは次のように解説した。
「ファンデーションを塗ると、肌本来のツヤが隠れてしまいます。多くの女性はファンデに加え、肌の透明感を出すために粉などはたき、加齢とともにシミを隠すためにコンシーラーを使ったり、下地を使ったり塗り重ねするようになります。しかし、それにより、かえって老けてみえる可能性があるのです。隠すために塗っているファンデが、逆にシワに入りこんでシワを強調してしまうことがある。ファンデで毛穴をふさぐと、トラブルの原因になる場合もある。パフ、チークのハケなどで肌を刺激することにより、シミができやすくなるリスクもある。目の下、ほほ骨のあたりにシミができやすい女性は、擦っていることが原因かもしれません」
だから、あれこれ塗りたくるのではなく「素肌」本来の美しさを呼び起こそうとしているのだ。