状況を変えた住民の署名運動

――そうした状況は、どこで変わったのでしょうか。

4月の町議会選挙で、エアコン設置に賛成の議員が当選しました。また6月の議会の前に、住民の有志の方がエアコンの早期整備を求める請願書と、3490人分の署名を町議会議長に提出してくださいました。とくに、請願書と署名の効果は大きかったと思います。

6月16日、町議会の本会議で、学校エアコン整備費約1億6000万円を盛り込んだ一般会計補正予算案が可決されました。その後すぐに入札や工事を進め、2011年の9月5日から、町内の小中学校の全教室でエアコンが稼働を開始しました。小さな町で学校数が少ないこともありましたが、県内でも早い方だったのではないかと思います。

ただ、3月議会で否決されたことで、交付税措置される有利な条件での起債はできなくなりました。「安全・安心な学校づくり交付金」による3分の1の国庫補助はそのまま活用できましたが、結果として町の負担が大きくなったことは今でも残念に思っています。

――震災直後、学校の耐震化工事の予算が優先され、エアコン整備の補助金が認められにくい状況もあったと聞いていますが。

宇多津町の場合は、2010年11月に耐震化工事への補助とあわせて国に要望を出し、翌年1月に交付決定を受けていたので、影響はまったくありませんでした。

――近隣の丸亀市は、町長が当選された直後の2010年10月4日、観音寺市は11月11日に、各市内のすべての小中学校の全教室にエアコンを設置する方針を表明し、いずれも宇多津町とほぼ同時期にそれを実現しています。宇多津町の状況が、これら他市町村の動向に影響を与えたとお考えですか。

申し訳ありませんが、他の自治体のエアコン導入の経緯や詳細な時期等についてはわかりません。たいへん苦労して導入したので、他のところを見る余裕がなくて……。県内の他の首長の方々と、エアコン導入についてお話したこともありません。

――なぜ香川県は、これほどまでに突出して小中学校へのエアコン導入率が高いんでしょうか。

そこも正直、よくわからないんです。小さな県ですから、行くと決めたら一気に設置できたんでしょうかね。国の補助の関係で、4年かかりで全小中学校へのエアコン導入を達成された自治体もあったと聞いていますが。