――どういう理由で消極的だったのでしょう。
ここに議事録があるのですが、そのときの教育長の答弁は「苦慮している」というものでした。「重要なのは教育的観点。すべて整備された何の不備もない環境の中で子供を育てていくことが、子供たちにとってよいことなのかどうか。(中略)暑さ対策として緑のカーテンも考えている」と。町の学校を「学力日本一、スポーツ日本一にする」という目標を掲げておられた町長も、「できることなら耐えてほしい。冷房を入れないで耐えてもらえるような施策を考えるべきではないか」という対応でした。
でも現実問題として、35度以上もあるような教室で勉強できないでしょう? 猛暑の夏は今後も繰り返し来るはずです。住民のみなさんの声を真剣に受け止め、子供たちの生命や健康を守り、勉学に励めるような学習環境を整備することが必要だと、私は思いました。
2010年2月に、その年の秋の町長選挙に出馬する意志を表明し、22の公約を掲げました。小中学校へのエアコン導入もその一つです。その年の夏は今年によく似た猛暑でしたが、その年暑かったから公約に挙げたわけではなく、先ほど申し上げたように議員時代から実現したいことだったんです。
町の実質負担は3分の1にできた
――町長に当選された後、エアコン導入の実現に向けてどのように動かれましたか。
就任直後から、財源獲得のために奔走しました。11月には国に陳情にも行っています。国の平成22年度の補正予算があり、先に申し上げたように事業費の3分の1が国費で補助される見通しでした。
残り3分の2については町債を起債することになりますが、補正予算債という仕組みを活用すると、起債分の45%について交付税措置(編集部注:国の基準に合致する公共事業に関連して自治体が起債を行うとき、その元利償還分の一部が地方交付税交付金でカバーされる仕組み)がされる状況でした。つまり、実質の町の負担は事業費全体の約3分の1ですむはずだったということです。
当初、学校へのエアコン導入でよく使われる「1教室あたり250万円」という試算ベースに基づき、事業費の総額は2億2300万と想定していました。入札等を経て、実際の事業費の総額は1億2299万円におさまりましたが。
リースも検討したのですが、その場合は国費補助や交付税措置が適用されません。ですから、通常の直接施工方式で議会に提案しました。