成人式で「町長さん、エアコンありがとう」
――予算、人員に限りがある中で、現在導入率が低い市町村は、どのようにすれば所管の小中学校へのエアコン導入をスムーズに進められるのでしょうか。
あくまで私の考えですが、やはり首長の決断、それから職員の熱意がカギだと思います。何のために政治を行っているのか。そのいちばんの基本は、住民の生命と財産を守ることでしょう。実際、小学生が在校時に熱中症で尊い命を失うという、痛ましい事故も起きているわけです。そういう価値観を、行政にあたる人間がみんなで共有することが大事だと思います。
予算についても工夫の余地はあります。国の補助の活用もそうですが、たとえば私たちも、単年度で全教室に設置するのが難しいなら、まず体力のない低学年の教室から先行して付けていくのはどうかとも検討しました。そういう手もあるわけです。
また、保護者の方々や関係者の方々が、その必要性を訴え続けることも後押しになると思います。宇多津町でも、やはり住民の方が署名活動をしてくださったことが大きかった。議会で導入反対派が多数を占めていたとしても、それだけ住民の声が集まれば考慮せざるを得なくなります。
今年の町の成人式で、新成人の皆さんと一緒に集合写真を撮ったのですが、僕の後ろにいた女性の方が「エアコンありがとうございました!」と言ってくださってね。そうか、あのとき中学生だった子がもう成人式かと。うれしかったですねえ。
宇多津町長
1957年3月29日生まれ。大阪学院大学商学部卒。中讃農業共済組合を経て、1999年4月に宇多津町議会議員初当選。3期連続で議員を務めた後、2010年9月の町長選挙に出馬、当選。2014年10月再選、現在に至る。