「エアコン導入」を公約に掲げて町長選出馬
記録的な猛暑が続いている。いま多くの小中学校は夏休みだが、早ければ8月中には2学期が始まる。だが公立小中学校の半数にはエアコンがない。
文部科学省の調査によると、2017年時点の公立校(普通教室)のエアコン設置率は49.6%。設置が進まない理由は「財政事情」だという。確かに財政に恵まれる東京都の設置率は99.9%で全国1位。だが全国2位は香川県の97.7%だ。なぜ香川県の設置率は、同じ四国の愛媛県(5.9%、41位)や高知県(19.0%、34位)、徳島県(38.9%、23位)を大きく上回っているのか。
そのきっかけの一つとされるのが、香川県の宇多津町の施策だ。2010年秋に同町の町長選があり、当選した谷川俊博町長が「全小中学校への全教室にエアコン設置」を公約として掲げていたのだ。
宇多津町は人口1万9000人。近隣の高松エリアや坂出工業地帯のベッドタウンとして人口が増加中で、塩田跡地の再開発の成功などで財政も健全だが、近隣の市などに比べれば予算規模は決して大きくない。公約実現にはどんなハードルがあったのか。町長に話を聞いた。
――2010年10月の町長選挙で、町立の小中学校(小学校2校、中学校1校)へのエアコン全面導入を公約の一つとして掲げ、当選されました。なぜそうした公約を掲げたのですか。
町長選挙の時が始めてではないんですよ。町議会議員を務めていたころから、学校へのエアコン導入はやるべき事業だと考えていました。地元を歩いていて、子供さんや保護者の方から「学校にクーラー付けてよ」という切実な要望を耳にしていたんです。
――当時の町立小中学校での導入状況は。
普通教室にエアコンはなく、コンピューター室や音楽室などの一部で導入されているだけという状況でした。
2007年9月の町議会の一般質問で、「子どもたちが勉学に努められるよう、暑さへの環境対策が必要ではないか」と、小中学校へのエアコン導入について質問を行いました。国から「安全・安心な学校づくり交付金」として3分の1の補助も出るのだから、これを申請して整備してはどうかと提案したのです。
しかし当時、町長部局も町の教育委員会も、エアコン導入には非常に消極的でした。