「安否確認の連絡をしてきた社員は3分の1だけでした」

東京都心で大震災に遭遇した大手通信系企業C社では、1000人が会社に宿泊し、約3000人が帰宅した。午後4時に2時間以内に徒歩で自宅に着く人は帰ってもよいと通知した。

同社の安全対策の担当者は帰宅組にこういう指示を出したと言う。

「自宅まで帰れるという安全経路の確認ができた人は、2人以上で一緒に帰り、それ以外の人は本社にとどまるように指示しました。さらに自宅に着くまでは一定時間ごとにメールや電話、SNSでもいいから安否確認の連絡を入れるようにと指示しました。一番有効だったのはSNSです。社員のSNSでどこの鉄道が動き始めたといった情報はテレビらラジオよりも早く入手できますし、効果があることを確信しました。しかしそれでも、安否確認の連絡をしてきたのは3分の1にすぎませんでした」

帰宅するのに懸命で、それどころではない社員もいるだろう。同社は大震災以後に、帰宅者の安全も含めて防災訓練を強化するようになった。

大規模地震が発生すれば、公共交通機関がストップし、道路も通行止めなどで使えなくなる。帰宅者を含めて社員の安全をどう確保していくのか。今回の大阪北部地震は、遠距離通勤する者も多い都市圏における巨大地震の「帰宅問題」を改めて投げかけたといえるだろう。

(写真=iStock.com)
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