地震や津波による直接的な被害からは免れたものの、その後の過酷な避難生活などで亡くなる「災害関連死」。今年1月に発生した能登半島地震では、70名が認定されている。こうした被害は、なぜなくならないのか。「災害関連死を考える会」を立ち上げた在間文康弁護士に、『最期の声 ドキュメント災害関連死』を書いたノンフィクションライターの山川徹さんが聞いた――。
能登半島地震において「災害関連死」で亡くなった人の特徴
――能登の災害関連死にはどんな特徴があるのでしょうか。
能登半島地震では、6月までに70人が石川県の各市町村による審査会で災害関連死に認定されました。これまで認定された事例を見ていくと、避難所で命を落とされた方が多い印象を受けます。
たとえば、珠洲市では、70代の女性は震災時に転倒して足を痛めて歩行困難になり、活動量が低下した結果、急性肺血栓症で死亡しています。また80代の女性が避難所でコロナウイルスに感染して持病が悪化し、敗血症で亡くなっています。
輪島市の避難所でもインフルエンザに感染した70代の男性が死亡しています。ビニールハウスに避難した80代女性が、用を足すために足を運んだ近くの畑で転倒し、自力で動けないまま低体温症で亡くなるというケースもあったそうです。
報告を見ていくと、高齢者が非常に多いのが分かります。それだけ高齢化が進んだ地域が被災したということでしょう。避難生活で十分な治療が受けられずに既往症や持病が悪化して死因につながるケースが多いのも、高齢化の影響と言えます。
当然の話ですが、高齢者や持病を持つ人は災害の影響をより強く受けます。避難生活が長期化すればするほど、疲労やストレスが心身に蓄積し、死亡のリスクが高くなる。
では、どのような支援が行われていれば、災害関連死を防げたのか。私は適切な支援によって、災害関連死は限りなくゼロに近くできると考えています。しかし非常に残念なことですが、能登半島地震でも、過去の災害と同様に、災害関連死を防ぐことができなかった。
次の災害に備えるためにも、これから災害関連死を防げなかった原因を検証して行く必要があります。