野球も金融も結果が大事「遠い目標を見据える」

証券会社で着実にキャリアを築いている鷲谷さんだが、野球選手への畏敬の念をいまも欠かさない。

東京駅から大手町方面のビジネス街を見る(イメージ)(写真=iStock.com/ansonmiao)

「彼らにはかなわないです。スタジアムで数万人の観衆が満足できるように、野球選手という商品としての価値を常に発揮しなければならない。それはすごいことです。(金融業界で)ヘッドハンティングされた自分もある意味、“商品”ではあるんですが、その点からしても彼らへのリスペクトはあります」

かつて、MLBドラフトで指名された球団においてルーキーリーグで一緒だった外国人の同僚が今、メジャーで活躍する姿を見ると、悔しい気持ちも湧き上がる。

「当時の彼らと僕と大きな差はなかったのに……。年下のある選手で当時、ゲームに出てなかった。それが今やメジャーでレギュラー選手になるなんて悔しいですよ(笑)。僕も、時間がかかるものと言い聞かせて粘り強くやっていれば、違う結果があったかもしれません。5~6年かけてメジャーに上がるんだという目標をもっていれば、もう少し安定したメンタルでやり続けることができたかもしれません。その先に、メジャー昇格のチャンスもあった、と思わないでもないんです。足もとを見つつ、我慢して遠い目標を見据える。今の仕事はそれを肝に銘じてやっています」

▼「僕は金融業界で野球界を代表している」

鷲谷さんは取材中、「彼らには勝てない、野球選手を超えるものはない」と何度もつぶやいた。

「(プロ野球で成功できなかった)悔しさは今の仕事のバネになっています。今の自分はこの仕事で頑張るということです。腐ったら同じことの繰り返しになる。金融業界は結果を出せば認めてもらえる業界。でも今はまだ下積みの期間です。粘り強くやれているのは野球の経験、失敗があったからです」

一般的に、証券会社の営業マンは実績を上げ、会社の業績への貢献度が高いと報酬も上がる。それだけに、鷲谷さんは大いにやりがいを感じているのだ。

「僕はどん底を見ています。転々と旅人だったので、今もフットワークを軽くいようと思っています。手を上げれば海外(支店で働く選択肢)もある。もともと定住しようという発想がないんです。僕が所属するチームを営業的にトップにしたいという思いがある一方で、面白そうなチャンス(引き抜き)や情報があれば、敏感でいたいです」

もちろん、元高校球児、元プロ野球選手の一流外資系証券マンとしての自負もある。

「自分の存在はゼロじゃないんだなと感じます。えらそうな言い方かもしれませんが、もっと道を作っていきたい。僕は金融業界で野球界を代表していると思っています。野球は頭を使うスポーツなので、それを生かして何か新しいことができる。2、3年ぐらい犠牲にしてもいいじゃないですか。僕もふらふらしていましたが、無駄になったことはなにもないです」

(撮影=清水岳志 写真=iStock.com)
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