「傘を持たない」のが合理的な選択

たとえばAさんの場合、傘を持っていくことと雨に濡れることのコストについて、後者は前者の2倍ほどと思っているので、おのおのを「10」と「20」とした。もちろん、傘を持たなければ、コストは「0」である。一方、降水確率40%ということは、晴れる確率は「100-40=60%」。それらを場面別に組み合わせると、図のようなマトリクスになる。

すると傘を持っていき、晴れた場合のコストは「0.6×10=6」で、雨が降った場合は「0.4×10=4」になる。つまり傘を持っていくコストのトータルは「6+4=10」なのだ。同じように傘を持たないときのトータルコストを計算すると「8」になる。結果「10>8」で、コストの小さい「傘を持たない」のが合理的な選択といえる。

このように、合理的・戦略的な意思決定を数学的なモデルを用いて研究するのを「ゲーム理論」という。もちろん、傘を持つコストや雨に濡れるコストは人によって変わってくる。自分のコストがいかほどかを考え、マトリクスに当てはめて計算し直して、傘を持っていくべきかどうかを判断していただきたい。

(構成=伊藤博之)
関連記事
インド人もびっくり「超おみやげ算」入門
米寿は88歳、では茶寿は何歳のお祝いか
気象予報士が"天気が悪い"と言わないワケ
金持ちが「1万円」をぞんざいに扱う理由
7500万円タワマン買う共働き夫婦の末路