将来はアクセサリー、メンズ、キッズ、シニア向けも

【田原】ユーザーがエアークローゼットを選ぶ理由は何ですか。

【天沼】3着のうち1着は、お客様が普段選ばない「チャレンジ」アイテムをあえて入れています。普段着ない色みの洋服で出勤して、「いつもと雰囲気が違って、かわいいね」と言われたら楽しいじゃないですか。結果的に似合わなくても、それがまた新しい発見になりますから。

【田原】それは面白い。

【天沼】お客様にアンケートを取ると、「お得だった」という声より、「赤いスカートを初めてはいて、ファッションが楽しくなった」「ここで知ったブランドのショップに行きたくなった」といった声が多い。私たちのサービスが、何か新しい行動を起こすきっかけになれば、本当にうれしいですよね。

【田原】将来はどうしましょうか。

【天沼】3つの展開を考えています。まず、いまアパレルに特化していますが、アクセサリーなども含めて出合いを広げていくこと。また、現在はレディースのみですが、メンズ、キッズ、シニア、マタニティなどにラインを広げていくのもいい。そしてもう1つが海外展開。サイズを考えると、展開しやすいのは東南アジアです。スタイリングは海を超えてもできます。東南アジアで日本のスタイリングを受けるといった体験をしてもらいたいと考えています。

【田原】天沼さんは、もともとITの人。AIは使わないんですか。

【天沼】貸し出し後の感想データをAIで分析して、洋服選びの精度を高めています。いまの十数万着というアイテム数ならアナログで選ぶことも可能ですが、100万、1000万と増えたときに同じことをするのは難しくなる。しかし、AIが30セット程に絞り込んで、そこから先のヒラメキのところをスタイリストのセンスで選んでいけば、成長を止めることなくやっていけるはずです。

【田原】最後の感性の部分は人間ですね。頑張ってください。

天沼さんから田原さんへの質問

Q. 新しいサービス、どうすれば成功しますか

人間は自分が欲しいものを知っているようでいて、じつはよくわかっていません。だからすごいサービスをつくっても、待っているだけでは認知されず、定着もしないでしょう。

ボストンコンサルティングの日本法人の元社長の堀紘一氏は、ドリームインキュベータという会社をつくった。何をする会社かと尋ねたら、「コンサルティングじゃない。ビジネスプロデュース」と言う。企業の悩みを解決するコンサルティングではなく、新しいビジネスを提案して生み出すことを仕事にするというわけです。

お客自身が気づいていないニーズにいかに気づき、提案できるか。新しいサービスの成功は、そこにかかっています。

田原総一朗の遺言:お客が気づいてない提案をせよ

(構成=村上 敬 撮影=枦木 功)
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