運のいい人は、失敗についてくよくよ悩まず、悪い出来事の良い面を見て、そこから学ぶ。そう、彼らは楽観的な説明スタイルを持っている。このことは多くの研究によって裏づけられている。
『幸運を祈って!』という気の利いたタイトルの研究では、おまじないやそれに類する行動(指を交差させて「頑張って(Break a leg)」と言うなど)、お守りなど、幸運を呼び寄せるとされる迷信は、実際にゴルフのスコアや、運動能力、記憶力、回文ゲームなどの能力を上げることが証明された。とはいえこれらは魔法ではなく、人びとに自信を与えることによって、そのパフォーマンスを向上させるのだ(だから友人の幸運を祈ろう。効果はてき面だ)。
こうした楽天主義は、運のいい人にいっそうグリット(何かに懸命に打ち込み、決して諦めずに最後までやり通す力)を与え、新しいことにより前向きに挑戦させるので、やがて時とともに、いっそう良い出来事が彼らに起こるようになる。よほど危険な試みでないかぎり、また、時折起こる悪い出来事を正当化できるかぎり、上昇スパイラルが続く。そしてあるときついに、大成功を呼び込むだろう。
6歳児がMBAの卵を打ち負かした理由
そんなわけで、常に新しいことにチャレンジしよう。そうすれば運に恵まれる。いつも同じことばかりしていると、これまでと同じものしか手に入らない。もし成功への明確な道筋がなく、あなたが達成したいことに関する手本も存在しない場合には、途方もないことをやってみるのが唯一の打開策かもしれない。
そのことを示す話をしよう。「マシュマロ・チャレンジ」と呼ばれる簡単なゲームがある。次の材料を使って、4人のチームで18分以内に、マシュマロを頂点とした自立したタワーをつくり、その高さを競う。
・マスキングテープ 1メートル
・ひも 90センチ
・マシュマロ 1個
これはピーター・スキルマン(マイクロソフト社スマートシングス・ゼネラルマネージャーという仰々しい役職に就いている)が、創造性を鍛える課題として考案したものだ。スキルマンはこのゲームを、5年以上にわたってエンジニア、再興経営責任者(CEO)、経営学修士(MBA)をめざす学生など、700人以上の人びとを対象に実施してきた。