言葉と顔で「そうそれ!」。目を大きく「それどういうこと!?」
「その人を知るために、複数の質問を投げかけるのも一つの手。興味のあるなしは、眉間(みけん)のあたりに出る表情で読み取ることができますし、話題を振っても乗ってこない場合は、どんどん新しい質問を投げかければいい」(同)
インプロで上手くシーンが繋がるのは、相手のことをしっかり受け容れ、言うことを理解し、相手にリードを取らせつつ、関係をしっかりキープしているとき。逆に上手くいかないインプロは、自分が言いたいことだけ言うケースだ。これも日常でやりがちな失敗である。では、話が途切れ、お互い黙ってしまったときはどうすればいいか。
「まず沈黙を恐れないことが大切。こちらが慌てると、その雰囲気が相手に伝わり、さらに気まずくなってしまう。リラックスすることが第1です。楽しい話なら『それは面白いですよね』と口にして、仕事の労いなら『それは大変でしたね』という言葉をかけてみる。そこから相手が何かをしゃべり出してくれることもあります」(同)
会話の継続には「聞く技術」も大切だということ。自分が話したいことを捨てる太っ腹な姿勢も必要なのだ。
「インプロの基本的な考え方として、相手がやっていることを受け容れ、そこから何かを拾って使っていくほうがいい、というのは確かにあります」
――高尾氏の教えは、人との会話にことごとくあてはまりそうだ。
言葉と顔で……「そう、それ!」
相手の言ったことが素晴らしいものに思える
目を大きくして、眉を上げて……「それ、どういうこと!?」
話が膨らむ、「あなたに興味がある」というメッセージになる
1974年、島根県生まれ。98年東京大学文学部卒業。2004年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専門は演劇教育、インプロ(即興演劇)。共著に『インプロする組織』ほか。