世界共通の7つの価値観
BAV調査は、各国1000以上の様々なブランドの成長力などを調査しているが、それと同時に各国同じ調査票で「価値観」の調査も行っている。そこでは、世界の消費者を7つの価値観セグメントに分けている。これは、ヤング&ルビカム社が開発した4Cs(Cross Cultural Consumer Characterization)という消費者価値観分析モデルで、消費者を国籍や社会属性に関係なく価値観により7つのセグメントに分類するというグローバルな消費者分析モデルである。
25カ国中「あきらめ派」比率が最高、「上昇志向派」比率は最低
最新年度で比較できる25カ国中、7つのセグメントの中の「あきらめ派」の水準は、日本(2010年調査実施)が一番高いという結果になった。この「あきらめ派」は既存の価値に執着し、時代の変化に適応できず、社会参加を「あきらめ」ている層と定義され、過去にこだわり、変化に抵抗をもち、ブランド選択も、「安全」で「親しみ」があり「経済的」なものを選ぶ傾向にあるとされる。同様に、疎外感やフラストレーションなどの社会における苦悩から逃避しようとする層と定義される「苦闘派」も25カ国中3位というやはり高い水準にあることがわかる。
一方、「上昇志向派」は逆に25カ国中最低のレベルになっている。この層は、社会の中で自分が周りにどう見られているかを重視し、ステイタスを志向する層と定義され、「羨望されたい」「見られたい」ことがモチベーションとなり、「華やか」で「トレンディ」なことが選択基準となっている。まさに、これまでの消費を牽引してきた層であり、マーケティング活動、とりわけ広告などのコミュニケーション活動は大なり小なりこの層をターゲットにしてきた。「いずれはクラウンに乗りたい」「そのうちロイヤルを飲むぞ」など商品ラインアップもこの層を意識して作られてきた。この層が今や見る影もなくなってきていることは、このデータベースからも明らかになったと言える。
やはり同様に、目標意識と達成への自信をもち、大衆からの分離がモチベーションであるとされる「成功者」も25カ国中最低のレベルとなっている。
次回は、それではこのような傾向はいつから出てきたか過去に遡って見てみると同時に、若者にも焦点を当てて見ていくことにする。