「外国人向け写真ツアー」の仕事が楽しみ

山本さんのように定年後も真面目に勤めてまとまった額を稼ぐのもいいが、自分の特技や趣味を生かして、楽しく働けるなら幸せ者だ。そんな働き方を実現しているのが中井博さん(67歳)。子どものころからカメラが好きで、今ではセミプロ級の腕前を持つ。

英国人女性カメラマンに新宿の撮影スポットの案内をする中井さん。

2年前にそれまで勤めていた再就職支援会社を退職。以来、撮りためた海外の写真を旅行サイトやフォトサイトに掲載している。また、東京都内の撮影ポイントでの撮影を希望する海外のカメラ関係者を希望地に案内する「外国人向けフォト・ツアーコーディネーター」の仕事を始めた。

依頼してくる外国人の多くがプロカメラマン。紅葉に染まる日本庭園や新宿・歌舞伎町の雑踏といった日本らしいロケーションを求める外国人に撮影スポットを案内する。報酬は半日で100ドル(約1万円)、1日で200ドル(約2万円)。そのうちサイト運営側が20%を引いた残りの金額が中井さんの取り分だ。

「海外関係の仕事が多かったのと、ドイツ駐在経験のおかげで、英語とドイツ語が話せる。外国人とのコミュニケーションに不自由は感じません」(中井さん)。セミプロ級の趣味と現役時代のキャリアの2つが今の仕事に役立っている。

「まだそんなに稼げてはいません。昨年は8件ほどで10万円ほどの収入。今は円高や競合サイトの影響もあり、マイペースでやっているので、月10万円なんてほど遠い。でも趣味のカメラで人の役に立てて、お小遣いももらえるのは、やりがいがある」と満面の笑みを浮かべる。今は夫婦で月20数万円程度入る年金が生活の支えだ。