安心安全な食を求め“ちょっと高め”が人気

生活協同組合(生協)では、食品添加物、残留農薬などを商品検査センターで自主検査し、食品安全・品質保証に取り組んできた。東日本大震災以降も自主的に放射性物質検査を続ける安全・安心な食への追求に支持者は多い。

この生協グループのなかで、東京、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城、長野、新潟の1都7県で構成されているのが、コープデリグループだ。行う宅配サービスは、1週間に1度配送の「ウイークリーコープ」と、月曜から金曜の週3~5日配送の「デイリーコープ」。

ウイークリーでは食料品や生活用品など毎週約5500品目程度を扱う。販売員が1週間ごとに内容の変わる100ページ近いチラシを配布し、翌週注文書を回収、翌々週に商品を配達する。

デイリーで6割に支持されているのは、写真右上の日替わり総菜が6品入った「舞菜おかず」(1人用1食換算で612.36円)。右下はごはん付きの「舞菜弁当」(1人用1食換算で561.6円)。ウイークリーではやや値段が高くてもおいしい「コープクオリティ」ブランドの冷凍食品やレンジ対応の赤飯などが人気。

ウイークリー担当の宍戸健雄さんによると、「配達手数料のシルバー割引利用率で考えると、全体の15%が高齢者と考えられます」。シルバー世代は、少し高めでも味のいい「コープクオリティ」ブランドや、冷凍の刺し身や魚の利用も多いため、ほかの世代と比べ、週1000円程度単価が上がるという。

一方、デイリーは利用者のほとんどが高齢者。夕食を目的とした日替わり弁当・総菜のほか、カットと下ごしらえ済みの材料、調味だれがセットになった調理キット『そろってGood!』などの「メインメニュー」を基本に、ウイークリーでも扱うサラダや冷凍食品、牛乳や卵などの「サイドメニュー」も配達する。メインメニューは曜日や内容を登録すると、自動継続で配達される仕組みで、変更は前の週の火曜日までに電話や配達員に伝えれば可能だ。60代はボリューム感のある総菜「舞菜御膳」が、70~80代は総菜6種類の「舞菜おかず」が人気で、80~90代はごはん付きの「舞菜弁当」を選ぶ顧客が多いようだ。

「デイリーは新潟県を除く1都6県で行っています。工場で作ったものを冷蔵して各宅配センターからお客様へ配送し、お召し上がりの際に電子レンジなどで温め直していただいています。ご飯や総菜は軟らかめに仕上げ、魚は骨を除いたものを使うなどの工夫をしています」(デイリー担当の船岡学さん)

受け渡しは手渡しのほか、利用者の希望によっては、保冷箱に入れて指定場所に不在置きすることもある。

「前日の商品が手つかずで残っていたり、異変を発見した場合は、行政などに連絡します。9月中旬以降、ウイークリーでもデイリーでも、お届け確認メールサービスが始まります。ご親族など連絡先登録者様に、お客様の配達時の在宅・不在、前回配達商品受け取り情報をお知らせするものです」(同)

このメールサービスは現在事前登録受け付け中だ。利用者の安全や安否を保障するものではないそうだが、離れて暮らす親族の異変を感じる手がかりの1つになるかもしれない。

▼コープデリ(デイリーコープ(D)/ウイークリーコープ(W)
業態●弁当、食材、日用品などの宅配
商品内容●(D)夕食用の弁当・総菜など/(W)生鮮食品から日用品まで週替わりカタログに5500アイテム以上を掲載
エリア●東京、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城、長野、新潟(新潟はD取り扱いなし)
回数●(D)祝日を含む月~金曜のうち3日以上(注文は前週火曜日まで))/(W)週1回(規定曜日。注文は1週間前まで)
特徴●(D)(W)ともに組合員となり会員登録をすると毎週チラシが配られる。販売員に注文書を渡す。受け取り方法は、手渡し、指定の場所の保冷箱に入れるなど。(D)は最初に注文内容と配送曜日を登録すると自動継続される。変更は前週火曜日まで。(W)はカタログをもらった翌週に配達員に注文書を渡すと、その翌週に配送される。シルバー割引を使うと配達手数料は0円+宅配の有無にかかわらずかかる基本手数料税別80円~(条件は各コープで異なる)。

厚生労働省が今年7月に発表した2016年の日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳と、男女とも過去最高を更新した。一方、内閣府の平成28年高齢社会白書では、「孤立死を身近な問題だと感じる」60歳以上の割合は、単身世帯で4割を超えている。こうした食材調達サービスを利用しながら、離れて暮らす親族の安否確認に役立ててはいかがだろう。

※各社の弁当写真などはイメージです。また掲載価格は税込みです。各数字は2017年6月時点。

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