もう1つ見逃せないのが、個人情報を公開することで発信者の社会的な存在感が上がり、結果として「得をする」という点である。

タレントのような職業では、SNSなどで「プライベートを切り売りする」ことが仕事につながる、ということはいわば常識になった。しかし、一般の人でも似たような傾向がある。もしブロガーやユーチューバーとしての収入があれば、直接のメリットとなる。そこまでいかなくても、例えば友人とつながることで交友関係の輪が広がったり、素敵な出会いがあったり、場合によっては仕事をもらえるかもしれない。

何よりも、「ネット上の存在」がなければ社会的に存在しないのと同じ、とさえ言われかねない現代の風潮の中で、自分の存在を確認するために、積極的にプライバシーを発信することが増えている

脳の働きから見ると、「自己」はもともと社会的なつながりの中で形成されるものである。最近では、そのような傾向がより強まっているのかもしれない。

最近、「インスタ映え」という言葉をしばしば目にする。インスタグラムで写真をシェアしたときに高く評価され、拡散されるような素材、構図、写真の撮り方を指す。

飲食店などでも、「インスタ映え」を考えてメニューを開発する店も出てきた。SNSで拡散されることが、評判を高め、宣伝になるというわけである。

ビジネスでも、ネットでのインパクトを考えなければならない時代。SNSは日々、ネットリテラシーの練習のための「道場」になった。

(写真=AFLO)
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