企業を狙ったサイバー犯罪がますます巧妙化している。ITリテラシーを高めないと自分が知らずのうちに被害を受けるだけでなく、犯罪の加害者になってしまう危険性もある。それを防止する手だてとは?

「今日は出張で◯◯へやって来ました~」
「ただ今、△△空港にチェックイン!」
「取引先との商談も無事終了 で、ご当地メニューでランチなう」

FacebookやTwitterなどのSNSでこうした投稿を写真付きで“食レポ”している人をよく見かける。せわしない東京から飛行機に乗って、のんびりした空気の地方に出張。現地での仕事もうまくいき、つい解放的な気分になって、スマホから投稿……。出張でなくても、営業先で立ち寄った観光地や面白スポットを写真と一緒に投稿している人は多いだろう。

仲間に発信したくなる気持ちはわかる。だが、こうした行為は「情報漏洩」につながり、結果的に勤め先からとがめられるリスクがある。それはときとして重大な問題に発展する恐れもあるのだ。

▼『◯◯へ出張で来た』という投稿はなぜ危ないのか

『セキュリティ 7つの習慣・20の事例』(エムーオーテックス刊*)の監修者のひとり、アスタリスク・リサーチ代表の岡田良太郎氏はこう警告する。

『セキュリティ 7つの習慣・20の事例』(エムーオーテックス刊・以下イラストも出典は本書)

「ビジネスマンとして、いつも会社の機密情報の取り扱いには十分注意しているつもりでも、出張時のSNSへの不用意な投稿がきっかけとなり、情報を漏洩させてしまうケースがあります」

自分のSNSアカウントを覗いているのは、信頼の置ける友人・知人だけではない。悪意をもった人や、競合他社である可能性もある。

会社の機密情報を投稿しないのは当然だが、岡田氏は「『◯◯へ出張で来た』といった投稿には慎重になったほうがいい」という。なぜなら、「断片的な情報でも所属する組織や職掌、ポストなどがわかれば、企業活動を推測され攻撃に利用される恐れがある」からだ。