自動車事故に遭っても生存できる、唯一の人類

グラハムは「自動車事故に遭っても生存できる唯一の人類」を想定してつくられた、架空の人物だ。巨大な頭部に、たるのような胴体……。SF映画にでも出てきそうなショッキングなビジュアルだが、これは単にグロテスクな見た目を狙って仕上げたわけではなく、交通事故に関するビッグデータに基づいて設計されている。物理的な衝撃に弱い人体のパーツを強化し、交通事故にあっても死なないような肉体があるとしたら、それはどんな姿か? というシミュレーションを形にした結果がこの姿なのだ。

「自動車事故に遭っても生存できる唯一の人類」であるグラハム。架空の人物だ。

「交通安全」は、何十年も前から繰り返しPRされてきたテーマである。免許更新の際に見せられる、交通安全ビデオなどと同じようなもので、「安全運転しよう」などの使い古されたメッセージをいくらドライバーにターゲティングして届けても、狙われた人は「はいはい、わかりましたよ」とスルーするのが関の山だ。広告テクノロジーがどれだけ進化しようとも、メッセージ自体がコモディティ化していては効果が出ない状態ともいえる。

「ミート・グラハム」キャンペーン