IPO後の会社は株式公開会社となり、オーナー個人のものではなくなります。ミニIPOではどうでしょうか。

株式を譲渡することに、寂しさを覚えるオーナー経営者もいるでしょう。しかし、それはIPOで市場に株式を放出するときに感じる寂しさと、同じではないでしょうか。

また、企業の成長プロセスから見えてくることもあります。それは、企業の成長のためには株式の所有に固執するべきではないということです。

グローバル企業では、成長を遂げる過程で株主構成が大きく変化していきます。創業家が株式の過半数以上を所有しているグローバル企業はほとんどありません。自社単独での資金調達やネットワークでは成長に限界があるからです。

そのうえで、ミニIPOの魅力とメリットについて、順を追って見てみたいと思います。

ミニIPOのメリットとは?

ミニIPO=大手企業への株式譲渡であれば、具体的な後継者がいない場合には、パートナー企業から人材を出してもらえます。そればかりでなく、子どもや社員を後継者にしたいという場合も、パートナー企業との交渉次第で実現可能です。

また、なんといってもミニIPOが魅力的なのは、事業会社と組むことで生まれるシナジー(相乗効果)です。産業構造が変化したいま、企業には市場の情報を集積して分析する機能をはじめ、自社でいくつもの機能をカバーする多機能化が求められています。

しかし、単にIPOしただけでは多機能化は進みません。

一方、ミニIPOでは自社にない機能をもつ事業会社と組むことが可能です。

ミニIPOであれば、基準を満たすまで上場できずに適切なタイミングで資金調達できなかったり、上場のコストで成長のための投資に回す資金がなくなったりするリスクもありません。

実際、私が手がけた案件で、IPOの方針を変更して、ミニIPOで事業承継と成長戦略を同時に成功させた会社があります。マンションの大規模修繕を手がけるC社です。