執筆前の「議論」が不十分だったのではないか

朝日や読売以外の新聞の社説も後退した採決を評価するなどぶれているが、産経社説だけは「無謀な核・ミサイルの挑発をやめさせるため、金正恩政権にどれだけ直接的な打撃を与えられるかが問われていた。その意味で、迫力不足の印象は否めない」と書くなど、ぶれが小さくなっている。そこは評価できる。ただ見出しが「石油禁輸の必要性消えぬ」とおとなし過ぎた。

新聞の社説でどうしてぶれが生じるのだろうか。新聞社説は10数人の論説委員がひとつのテーマに対し、1時間ほど議論を重ね、その議論の流れを踏まえたうえでひとりの論説委員が筆をとる。

一般的に議論が十分尽くされないと、どうしても論調がぶれてくることが多い。今回はこれまでの国連安保理の採決から判断して、原案が後退することは各新聞社とも予想していたと思う。しかし予想に反したスピード採択だった。その速さに論説委員たちが付いていけず、議論が不十分になってしまったのだろう。

これが10年間以上、新聞社で社説を書いてきた沙鴎一歩の感想である。

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