トラブルは京都の玄関、京都駅でも起きていた。

「1時間に一度清掃に入っても追いつかないくらい、むちゃくちゃな状態で、お客様から苦情殺到でした」(西日本旅客鉄道・伊藤秀真さん)

喫煙習慣もお国柄による違いがある。路上喫煙禁止で違反すると1000円の過料が科せられるエリアには指導員が巡回しているが、外国人観光客だからと見逃すわけにもいかない。

「少しでも京都は路上喫煙禁止だと知ってもらわなくてはいけない。そこで、民間の外国人観光客向けのフリーペーパーにはレストランや観光スポットの紹介で地図を載せるときに、過料徴収エリアと喫煙所の場所の掲載をお願いしています」(前出・寺田さん)

分煙への取り組みも、京都は全国トップレベルにある。

「昨年末、京都市と飲食店や宿泊施設などの事業者組合で構成される京都府受動喫煙防止憲章事業者連絡協議会との間で『受動喫煙防止対策を推進するための連携に関する協定』が結ばれました。店内の喫煙環境が店に入る前にひと目でわかるようにステッカー表示をするという取り組みです。協力会社が2月から京都市内7000店を戸別訪問してお願いしています。7000というのはタウンページベースなので、実際はプラス1万店になると思いますが、こういった官民一体の喫煙環境改善への取り組みは全国でもきわめて稀で、京都モデルと呼ばれています」(京都府受動喫煙防止憲章事業者連絡協議会事務局長・南部和久さん)

交通機関の常識も国によって異なる。京都駅では、激増した外国人の専用案内所を設けるとともに、1日6人の英語と中国語が話せる外国籍の案内スタッフを配置し、対応にあたっている。

「一昨年の4月からスタートしたのですが、1日1000件以上の海外観光客の相談に対応しています。インターネットが発達しても、やはり最後は人ですからね」(前出・伊藤さん)

現在、京都市・国交省・タクシー業界が連携して実験しているのが、全国初となる外国人優先タクシー乗り場だ。外国語および接遇研修を受けた運転者、カードで決済ができ、大きなトランクが2つ以上積める車両といった要件を満たしたタクシーは「フォーリンフレンドリータクシー」として認定される。認定された高いサービスレベルを持つ運転手の存在は、京都市域のタクシーの全体的なレベルを向上させるという相乗効果も期待されている。

(1)喫煙環境がわかるステッカー。(2)景観にマッチした喫煙所の設置。(3)祇園にある禁止事項を示したピクトグラム。(4)市内中心部、京都駅周辺および祇園・清水地域は過料徴収エリア。(5)外国人観光客向けのフリーペーパーも協力。地図に過料徴収エリアと喫煙所の位置を掲載してもらっている。