ジャック・ウェルチの「2つの目」とは

経営者に求められるのは、「自分が最終的な責任を取る」という覚悟です。専門家に任せることは必要ですが、誰に任せるかの見極め、そしてその説明が納得のいくものかどうかは経営判断です。

そうした1つ1つの「関所」をきちんと考え抜き、責任を持って任せることができれば、うまくいかなかった場合でも、どこが間違っていたのかをしっかりと振り返り、そこから学べることがあるはずです。

「専門家の言う通りにする」という誘惑は結構大きいものです。しかし、その誘惑に惑わされないことが必要です。恐らく、東芝クラスの経営者であれば、「おかしいのでは」と思っていたのではないでしょうか。問題は、その次です。専門家、先輩経営者の言うことが違うと気づいたときに、しっかりと指摘することができるかどうか。もしそこで、「そんなことを言えば、あの人が怒りそうだから、まあいいか」と思ってしまうようでは、経営者としての資格はありません。

東芝と同じように、事業を多角的に展開しながらも、うまく経営されているのがGEです。前CEOのジャック・ウェルチもそれぞれの事業を専門家に任せながら、同時に厳しい目でチェックをしていました。経営の視点からさまざまな質問をし、CEOとして納得できるような説明を求めます。ウェルチは、「専門家には専門知識がある。だが、私には2つの目がある」と述べています。

経営者とは、最後に責任を負わなければならない、非常に厳しい仕事です。しかし、東芝を見ていると、その部分で無意識かもしれませんが逃げてしまったように見えるのです。経営者にとって能力は必要条件です。十分条件は、その能力や注意力の配分、そして最終責任者としての自覚と行動です。

(増田忠英=構成 時事通信フォト=写真)
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