【三浦】地方創生大臣の石破さんが何をしたいのか、正直私にはよく見えなかった。永田町と霞が関とメディアで完結している政治では地方の実態は見えないというなら、地方創生は本来、どうあるべきですか?
【石破】竹下政権のふるさと創生事業で各市町村に1億円を配ったときに、「バラマキ」批判を受けました。しかし竹下さんは「違うんだわね。これをどう使うかでその地域の知恵と力がわかるんだわね」と言われた。今回の地方創生ではそれをもっとクリアな形で出していて、地方が自ら戦略を策定し、持続可能な計画を地元のあらゆる人々が参画してつくってもらうように法律を作り、各自治体にお願いしました。
実際、地方創生推進交付金も地域によって大きく差が付いています。満額もあれば、ゼロのところもある。5年間の地域戦略には具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定すること、PDCAサイクルを内蔵することもお願いしました。明らかにコンサルに頼んでつくったと思われるものも、地元の中高校生、商工会議所の人々などを巻き込んだ手づくり感満載のものもありました。それは差があっていいんです。大事なのは知恵を振り絞ってその地域をどうしていくかを考えて、そのプロジェクトが自律的に回っていくかどうか。
安倍政権は常に新しい政策課題を設定して、国民をリードしてきました。「地方創生」「1億総活躍社会」「働き方改革」。自治体の中には「あれ? 地方創生はどうなったの」と思っている人もいますが、国からは方向性が示されており、あとは自分たちでやっていく。まだ各地の取り組みは「面」にはなっていないけど、「点」は密になってきていると思いますね。
1957年、鳥取県生まれ。衆議院議員(10期)、水月会(石破派)会長。慶應義塾大学法学部卒業後、三井銀行入行。86年衆議院議員に全国最年少で初当選。防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、地方創生担当大臣を歴任。著書に『日本人のための「集団的自衛権」入門』ほか。
三浦瑠麗
1980年、神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学農学部卒業。東大公共政策大学院修了。東大大学院法学政治学研究科修了。法学博士。現在、東京大学政策ビジョン研究センター講師。『朝まで生テレビ』や『プライムニュース』などでコメンテーターとして活躍する気鋭の若手論客。近著に『「トランプ時代」の新世界秩序』。