顔を丁寧に洗うよく味わって食べる
プライベートのゴタゴタを仕事に持ち込まないために、書道家の武田双雲氏は、丁寧な所作振る舞いを心がけているという。
たとえば、起き抜けに顔を洗う際、バシャバシャとシンクに水が飛び散るような勢いでするのではなく、丁寧に水をすくい、その感触を確かめるように洗う。朝食時にも、ワーッと慌ててかき込むのではなく、きちんと味わってひと口ずつ丁寧にいただく。「『丁寧』という言葉の意味するところは非常に深い。一つひとつの所作を丁寧にすることによって、心が整い、人間関係もうまくいく」(武田氏)。
ただでさえ多忙なビジネスパーソンからは、「そんな時間の余裕はないよ」というぼやきも聞こえてきそうだが、武田氏いわく「『丁寧』と『ゆっくり』は違う」。ある程度スピードはキープしながらも丁寧な振る舞いはできるのだ。「F1レーサーだって、時速300キロという猛スピードの中で、実に丁寧に運転している」のだから、一般のビジネスパーソンにもできないはずはない。
ただし、家庭の問題が本当に深刻で時間をとられる場合は、勤務時間中の密度を濃くして、短時間で仕事を片付けるしかない。(http://president.jp/articles/-/21150)のアドバイスと同様、メンタルコーチの平本あきお氏は付箋を使って抱えている業務を書き出すことを勧める。その中から「自分にしかできない仕事」をあぶり出す。この際、部下や同僚に振れるものは、どんどん任せてしまおう。
そうやって重要度が高い業務だけに全力投球すれば、きちんと職場に貢献した気分になれるし、周りからの理解も得られやすい。定時退社しても気まずい思いをしないで済むだろう。心置きなく仕事と私的な問題を両立できる。
小倉広事務所代表取締役。組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー。リクルート、ソースネクスト常務、コンサルティング会社代表取締役を経て現職。
アンカリング・イノベーション代表取締役。目標実現の専門家。独自に開発した「行動イノベーション」により、日本大学馬術部を2度の全国優勝に導くなど活躍。
書道家。東京理科大学理工学部卒業。3歳より書道家である母に師事し、書の道を歩む。約3年間のNTT勤務を経て書道家として独立。独自の創作活動で注目を集める。
チームフロー代表取締役、メンタルコーチ。東京大学大学院修士課程修了。米国の心理学専門大学院(アドラー心理学)でカウンセリング心理学修士課程修了。