上司のケアハラは会社の責任

今回の改正で企業は介護休業の運用体制を見直す必要がある。就業規則を変更したり、申請書類を用意するなど、やるべきことはたくさんある。なかでも重要なのが、ケアハラ(介護ハラスメント)防止措置だ。介護休業を理由に会社が従業員に不利益な取り扱いをすることは、従来、禁止されていた。たとえば介護休暇取得者を本人の意思に反して配置転換するのは違法だ。

「今回はさらに一歩踏み込み、上司や同僚にケアハラをさせない措置を講じるように会社に義務づけました。たとえば『介護で休むなんて責任感が足りない』という上司を放置すれば、会社も責任を問われます」

具体的にはセクハラやマタハラと同じように、社内に周知したり、相談窓口を設置するといった対策が必要になる。改正法はすでに施行されているので、まだ手をつけていない会社は早急に制度を整えたいところだ。

(図版作成=大橋昭一)
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