客は自分ではなく「第三者」の意見に耳を傾ける

詐欺業者はあくまでも「仲介役のサポートセンター」という第三者としてのスタンスを貫いて騙そうとしてきたわけだが、この第三者目線での話を展開すること自体はビジネスの交渉事などにおいては有効だろう。

人は不思議と当事者が話すよりも、第三者を介して話す内容の方に重きを置く傾向がある。

私が講演をする際にも、長々と自分で「過去に『ついていったらこうなった』という本を出しまして、それがテレビ番組になりまして……」など、自己紹介をしても、聞いている人は「はあ」という感じになる。

ところが、司会者や主催者あいさつで市長などが「みなさん、多田さんは「過去に『ついていったらこうなった』という本を出しまして、それがテレビ番組にもなったそうです」という、聴衆は「へえ、そうなんだ」という表情で話を聞いている。

その昔、ある編集部内で「あの男は宝くじが当たったらしい」という噂をわざと流す企画があった。すると部内に一気に噂が広まった。噂を流された記者本人が「当たっていない」と言っても、誰も信じない。みんな噂の方に重きをおいてしまったのである。これは口コミ戦略などで使われる手でもある。

また、広告やパンフレット、HPに業者の商品やサービスを利用した人たちの「声」を掲載して、自社の良さをアピールする手法もよくみられる。健康食品の紹介でも、それを毎日摂取することで、体調がすこぶるよくなったなどのCMが本人の体験談としてよく流されている。いずれも業者自身が直接、伝えるよりも、第三者を介して伝えられた情報に、消費者がウェイトを置くという効果を狙ったものであろう。

営業などでも 第三者目線を使って話すことは有効だ。

顧客などに自分の話をなかなか受け入れてもらえなそうな空気の時は、自分だけの力だけで打開しようとするのではなく、他人の力を借りる。

たとえば、説得の活路を開くために、技術関連に詳しい人を帯同して専門的な説明してもらう。あるいは、その筋のプロが語る意見や話を引用し、時に資料を見せながら説明することでも同じ効果を得られるに違いない。

ビジネスにおいては、いかに他人(第三者)目線を巻き込んでいけるかが、説得のカギとなる。

よく詐欺事件などが起きると、私はしばしばその事件についてのコメントを求められるが、これもニュースを発信するメディア側にとっては、当事者からの話だけでなく、専門家としての第三者の意見を組み込むことで、記事やニュースに説得力が生まれるからに他ならない。

当事者が語る言葉よりも、第三者から伝えられる情報の方に、人は強い影響を受けてしまう、これを利用した手立ては様々な場面で使われているのだ。

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