『課金方法の進化』経営を推進する4つのポイント
時代を超えて求められる企業になるには、
(1)市場
(2)顧客
(3)意味(用途・役割)
(4)製品(商品)
(5)価格
(6)ブランド
(7)サービス
(8)課金方法
(9)販路
(10)販売方法
(11)コミュニケーション
という11の領域で経営を進化させ、経営全体を最適化することだ。
進化経営の詳しいプロセスは、『価値づくり進化経営 http://www.jmca.jp/prod/2433』(日本経営合理化協会刊)に譲るが、今回は(8)課金方法の進化に取り組んだパーク24の事例から、企業が取り組むべき新たな課金方法の創造を通じて、経営を進化させていくポイントを5点抽出する。
(1)使った分だけ料金を支払う「従量制課金方法」で、ドライバー視点から使い勝手と料金を最適化した
1時間単位でなく15分~20分という短時間で利用できる従量制課金方法を採用し、ドライバーの使い勝手と利用頻度を向上させて需要を拡大した。
(2)日中と夜間それぞれに「固定制課金方法」による最大料金を設定し、利用者の負担感を軽減し安心感を高めた
長時間駐車したい人を想定し、日中と夜間それぞれに固定制課金方法によってエリア毎に価格を変えた最大料金を設定したことで、利用者の負担感を軽減し安心感を高めた。
(3)「所有でなく利用に応じた課金方法」により、土地オーナーとドライバー両者のニーズを満たした
共同経営型でなく賃貸料を支払う課金方法により、土地オーナーのリスクを軽減して収入を安定化し、ユーザーには使いたい時にだけ使えるカーシェアリング方式を提案して新規需要を掘り起こした。
(4)無人運用方式による「ノンフリル課金方法」により、人件費を抑えて高度な24時間営業を実現した
有人運営のコストと営業時間の制約をなくすため、無人運用方式によるノンフリル課金方法を考案し、コストを抑えながら高度な対応ができる24時間営業を実現した。
(5)土地オーナーとドライバー、そして自社に最適な3つの課金方法を選択して組み合わせた
土地オーナーとドライバー、そして自社に前述した最適な3つの課金方法を組み合わせ、独自のビジネスモデルに仕立てた。
飛躍する企業は、既存事業の盲点を見つけ、新たな課金方法を考案して需要を創造し、自社の社会的存在価値を高めていく。「モノを製造し、販売して、そこから収益を得る」課金方法だけに固執していては、大きなビジネスチャンスを逃がしてしまうのだ。
1953年生まれ。学習院大学法学部卒業。日本経済新聞社が実施した「経営コンサルタント調査」で、「企業に最も評価されるコンサルタント会社ベスト20」に選ばれたマーケティングのコンサルタント会社、ブレインゲイト代表取締役。著書に『価値づくり進化経営』(日本経営合理化協会)、『全史×成功事例で読む「マーケティング」大全』『成功事例に学ぶ マーケティング戦略の教科書』(共にかんき出版)、『コトラーを読む』『商品よりもニュースを売れ! 情報連鎖を生み出すマーケティング』(共に日本経済新聞出版社)、『中小企業が強いブランド力を持つ経営』『価格の決定権を持つ経営』(共に日本経営合理化協会)、『図解&事例で学ぶマーケティングの教科書(マイナビ 監修)』など多数ある。日経BP社日経BP Marketing Awards(旧名称 日経BP広告賞)の審査委員を務める。