「従量制課金方法」と「固定制課金方法」

15分や20分単位で利用できる「従量制課金」、日中と夜間に「固定制課金」の料金システムがある。

借りた土地を駐車場にし、駐車料金によって収益を高める仕組みとしてパーク24が考え出したのが「タイムズ」方式だ。「タイムズ」は従来の月ぎめや1時間単位の課金方法でなく、15分や20分単位で利用できる「従量制課金方法(※1)」による料金システムだ。また長時間駐車したい人を想定し、日中と夜間それぞれに「固定制課金方法(※2)」による最大料金をエリア毎に価格を変えて設定し、使い勝手を向上した。

(※1 従量制課金方法とは、使った分だけ料金を支払う従量制の課金方法で、「富山の置き薬」や「オフィスグリコ」がこの方式を採用している)
(※2 固定制課金方法とは、飲食店が行う「食べ放題」や「飲み放題」、携帯電話の「通話し放題」などがこの方式だ)

さらにこれまでの有人運営でなく、駐車場の自動精算機を無線で結ぶ無人運用方式(※3 ノンフリル課金方法)によるTONICと呼ぶシステムを導入。この仕組みにより24時間365日、駐車スペース毎の利用状況・利用金額などのデータを把握することが可能になった。また「領収書が出ない」「駐車券を入れても出庫できない」といったトラブルにも遠隔操作で対応ができ、監視カメラも稼動させている。

(※3 ノンフリル課金方法とは、商品やサービスで価格が高くなっている要素をそぎ落とし、核となる価値だけに絞り込んで課金する方法で、航空業界のLCC、眠る機能を充実させる一方、機械による前払い制で部屋のキーをなくして暗証番号にしているスーパーホテル、髪をカットするだけに特化したQBハウスなどが代表的だ)

TONICによって利用者はパソコンやスマートフォンから駐車場の位置・空車情報が探せる上に、クレジットカードや電子マネーによる精算が可能となった。また会員になると利用する度にポイントが溜まる仕組みになっている。

パーク24側はTONICによって顧客の属性や稼動状況を把握し、駐車場毎に対策が打てるようになった。稼働率は高ければ高いほど好ましく思えそうだが、パーク24は稼働率は47~48%が最適値だと考えている。稼働率が高すぎるといつも駐車場が満車状態で利用できない人が出現し、この状況が度重なると顧客が離れる可能性があるからだ。

稼働率が最適値よりも低い場合には駐車スペースを減らし、駐車しやすいようにレイアウトを変更して初心者でも停めやすくする。逆に稼働率が高い場合には、さらに需要があるので、新しい駐車場を近隣に開拓する。同社はこの稼働率を、駐車場毎に最適な料金設定を行うためにも活用している。

新たな課金方法のカーシェアリングビジネス

同社では時間貸し駐車場ビジネスはいずれ市場が飽和すると考え、病院・スーパー・デパート・公共施設に併設された駐車場をタイムズとして活用してもらう法人向け営業を展開し、さらにマツダレンタカーを買収してレンタカー事業とカーシェアリング事業も開始した。

2009年5月に開始したカーシェアリングサービス「タイムズカープラス(TCP)」は、2014年10月期に初めて通期で黒字化を達成し、2016年7月には会員数が50万人を突破。駐車場事業に次ぐ第2の柱に育ちつつある。TCPは全国一律で「15分206円から」の価格で貸し出し(※4 所有でなく利用に応じた課金方法)ている。事故などによる不稼動をなくすため徹底したデータ活用を行い、1台当たりの稼働率を向上させ収益性を高める取り組みを実践している。

(※4 所有でなく利用に応じた課金方法とは、高額で減価償却の対象になるカテゴリーの商品を販売による収益化でなく利用料を徴収する方法で、「レンタカー」や「コピー機のリース」が代表例だ)