最初と最後の5行を読むだけでもいい
効率的な読書を習慣化するには、「読みたい本」だけでなく、「速く読めそうな本」を選ぶことも重要です。そして、そう考えると、本は3種類に分けられます。
(1)そもそも読まなくていい本
(2)速く読む必要がない本
(3)速く読める本
習慣化に際しては、(2)と(3)を「1対9」の割合にするといいと思います。なお、(1)は自分にとって必要のない本ということになりますから、手に取る必要はありません。ちなみに自分に必要がないだけなので、価値がないという意味ではありません。
「(3)速く読める本」とは、全体を貫く「線」の要素が少なく、どこから読んでも成立するような「切れ目」の多い本です。後述するように、本の構造を理解できていれば、「流し読み」でも知識や発見をしっかり吸収できます。
一方で、「(2)速く読む必要がない本」もあります。1つは小説のような「ストーリー」があるコンテンツ。映画を早送りで観たい人が少ないように、プロットやディテールを味わうために読むのですから、相応の時間がかかります。
もう1つは、自分がゆっくり読みたいと思う本です。私の場合、翻訳書に多いのですが、構成が巧みで、ページを1枚ずつめくるのが楽しみになるような重厚感のある本です。100冊に1冊ぐらいは、そうした本とも出合います。
速く本を読むためには、正しい「流し読み」を身につける必要があります。まずは、本の「はじめに(序文)」と「目次」を熟読してください。「はじめに」には、その本の目的や要約が書かれています。どんな文体で書かれ、なにを目指して進む本なのか。全体の「ノリ」もつかめます。また「目次」は、その本の〝地図.です。全体の構造や流れを把握することができるため、熟読すべき場所の「見当」がつけられます。
そのうえで本文に進むわけですが、書籍の本文は、基本的に「章」「節」「項」というユニットで構成されています。最大でも20ページ程度を1ユニットと考えて、最初と最後の5行だけを読むようにするといいと思います。
ビジネス書や新書など、なにかを解説するコンテンツは、最初と最後の5行を確認すれば、そのユニットで著者がいいたいことがわかるようになっています。「このユニットは自分に必要だな」と思ったら、ユニットの頭からていねいに読み直すのです。