習慣づけで変わる上手な記憶法

まずはテーブルの上を整理整頓して、記憶のスペースを確保すること。そうすればもの忘れが軽減したことも実感でき、経験を活かした時間管理を実現できる。それでは記憶力を高める方法を紹介していこう。

◎五感を使うこと

人間の五感は、記憶にとってアンテナのような存在だ。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚によって取り入れられた外の情報が脳の海馬に送られ、その一部が記憶として定着していく。

「その中でもっとも活躍するのが視覚情報で、情報の8割以上は目から入ると言われています。アンテナの感度は各人で異なり、耳で聞いた情報のほうが覚えやすいという人もいますが、五感を全部駆使したほうが記憶に残りやすい傾向があります」

スケジュールは、まず目で見て確認。そこで重要な用事はぶつぶつ口で繰り返せば、音として耳からも入るため、忘れにくくなる。

◎手書きでメモを取る

ワーキングメモリのテーブル上に書類があふれかえって新しい情報が置けないとき、いったん、ほかの机に据え置くという手段がある。つまり頭の中ではなく、メモに残すのだ。

Getty Images=写真

「メモの方法は手書き、キーボードの打ち込み、それぞれ一長一短ありますが、個人的には紙への手書きをお勧めします。紙は一覧性が高いため、開いたときにページのどこに書いたかという位置情報や、どんな文字で書いたかというイメージとして脳が取り入れやすいからです」

ただし、何でもかんでもメモすればいいわけではない。脳はそのときの環境に適用しようとする性質があるため、メモばかり取って記憶力を使わない状態が続くと、もはや不要だとなって記憶のスペースがだんだん狭くなってしまうのだ。カーナビやケータイを使用するうち、昔は頭に入っていたはずの地図や電話番号を覚えられなくなってしまったのは、その現象と言える。ワーキングメモリからこぼれ落ちそうなスケジュールだけ、メモを取るといい。

◎良質な睡眠を取る

ワーキングメモリを整理する、もっともシンプルな方法が睡眠である。睡眠中は五感の中で嗅覚しか働かないため、新しい情報が入りにくい。そして睡眠を取ると記憶の定着がよくなり、さらには集中力も回復する。

「10~15分程度の昼寝でも、ワーキングメモリはかなり回復します。避けたほうがいいのが、常にスマホをいじっていること。多くの情報が脳に飛び込んでくるため、ワーキングメモリが散らかってしまう。また何でもかんでも検索する習慣が身につくと、記憶の容量も減っていきます」